那須皓

那須皓の生涯と業績

生い立ちと学問への道

1888年6月11日、東京市本郷区（現在の東京都文京区）に生まれた那須皓は、幼少期から知的好奇心が旺盛であった。東京府立第四中学校、そして一高を経て、最終的に東京帝国大学農科大学（後の東京大学農学部）に進学。1911年に無事卒業した彼は、その後大学の助教授、そして1922年には教授に昇進する。彼の学問の軸は農業経済学と農政研究にあり、これらの分野において卓越した業績を残す。

日本農業経済学会の設立

那須皓は、日本での農業経済学の普及に尽力し、1915年には「日本農業経済学会」を設立。彼の活動は、農業に関する理論的な研究に留まらず、実践的な問題解決へと広がっていった。特に農村の貧困問題や小作争議に対する研究を進め、農林省の石黒忠篤との親交を深めた。この関係により、彼は石黒のブレーンとしても活躍し、農業政策の形成に寄与した。

満蒙開拓への関与

1937年、那須は石黒、加藤完治、橋本伝左衛門らと共に、「満蒙開拓青少年義勇軍編成に関する意見書」を政府に提出。これは国内の農業問題解決を目的としたものであり、当時の農民を満蒙地域に移住させる計画を支持した。このような施策は、戦前の農業政策の一環として位置づけられ、彼の活動は農業の振興に貢献した。

戦後の活動

第二次世界大戦が終わると、那須は一時的に公職追放の措置を受けるが、後に復職。1957年、吉田茂元首相の要請により駐インド兼ネパール大使に任命され、農業を基盤とした国際交流に力を入れる。インドでライ病の深刻さを目の当たりにした彼は、「アジア救ライ協会」を設立し、その初代理事長をつとめるなど、アジアの農業問題解決に貢献。

国際的な貢献と受賞

那須皓は1963年には国連食糧農業機関（FAO）の総会議長に就任し、国際的な場でも農業問題に尽くした。彼の業績は日本国内にとどまらず、海外においても高く評価されることとなり、1965年には勲二等旭日重光章、1967年にはマグサイサイ賞を受賞する。特にマグサイサイ賞は、日本人としては3人目の受賞であり、その功績は国際的にも認知された。

著作と学問への影響

ナスの著作も多くあり、特に『農業問題と社会思想』（1931年）や『公正なる小作料』（1925年）などは、農業経済学の普及と発展に寄与している。彼の研究は、今なお多くの学者たちに影響を与え続けており、農業の問題に対する深い理解を促進している。彼の生涯を通じた多岐にわたる活動と業績は、農業経済学の発展に大きく貢献し、日本の農業政策にも長期的な影響を与えたといえる。

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