邱会作

邱会作

邱会作（きゅう かいさく、1914年4月16日 - 2002年7月18日）は、中華人民共和国の軍人であり、中国人民解放軍の主要な指導者の一人でした。江西省に生まれた彼は、激動の時代にその生涯を送り、軍の後方支援部門において重要な地位を占めましたが、政治的な激流に巻き込まれ、波乱に満ちた晩年を送ることになります。最終的な階級は中将でした。

革命への参加と軍歴の始まり

若き日の邱会作は、中国の革命運動に深く関わっていきました。1929年、彼はわずか15歳で中国工農紅軍に身を投じ、武装闘争の道を歩み始めます。その献身的な働きぶりは認められ、3年後の1932年には中国共産党への入党を果たしました。彼の軍歴は、前線での戦闘よりも、主に兵站業務や補給、管理といった後方支援の分野で積み重ねられました。これは、軍隊が効果的に機能するための生命線ともいえる重要な役割であり、彼はこの分野で専門性と実績を培っていきました。

総後勤部長としての台頭

中華人民共和国成立後も、邱会作は軍内で昇進を続け、後方支援部門の責任者としての地位を固めていきます。特に彼のキャリアにおいて重要な節目となったのは、1959年に林彪が国防部長に就任した時期でした。この頃から、邱会作は中国人民解放軍の総後勤部長という極めて重要なポストに就き、約12年間にわたりその職を務めました。総後勤部は、軍全体の物資調達、供給、医療、財務、施設管理などを一手に担う部門であり、そのトップである総後勤部長は、軍の維持・運営に不可欠な権力を持つ存在でした。彼はこの時期、林彪の有力な支持者「四大金剛」（黄永勝、呉法憲、李作鵬、邱会作）の一人として、林彪派の中核をなしました。

林彪事件とその後の失脚

しかし、彼の栄光は永遠には続きませんでした。1971年9月に発生した林彪事件は、中国政治に大きな衝撃を与え、多くの関係者の運命を暗転させました。林彪が毛沢東に対するクーデターを企て失敗したとされるこの事件に関連して、邱会作もまたその責任を問われることになります。彼は事件後すぐに職務を停止され、身柄を拘束されました。これは、林彪グループの一員と見なされた彼にとって、政治的な失脚を意味していました。

党からの追放と裁判

拘禁された後、邱会作は党内での地位を完全に失います。1973年8月に開催された中国共産党第10回全国代表大会において、彼は他の林彪グループの主要メンバーと共に、党から正式に除名されました。文化大革命が終結し、新たな指導体制の下で林彪グループや江青ら「四人組」の責任追及が進む中で、彼は歴史的な裁判の被告となります。1980年、江青らと共に最高人民法院で行われた公開裁判で、邱会作は反革命の罪状で起訴されました。この裁判は、文革期の混乱と権力闘争に関与した主要人物に対するもので、国内外から大きな注目を集めました。裁判の結果、彼は懲役16年の有罪判決を受けました。

晩年と回想録

判決を受けて服役した後、邱会作は比較的早い時期に仮釈放されました。1981年9月、他の林彪グループの将軍たちと同様に、彼は病気治療を理由に釈放され、陝西省西安市に居住することになりました。政治の表舞台から完全に退いた彼は、静かに晩年を過ごしました。2002年7月18日に逝去。彼の死後、自身の半生と林彪事件を含む当時の政治状況について記した回想録が、香港で出版されました。この回想録は、文化大革命期や林彪事件に関する一次資料として、研究者や歴史に関心のある人々の間で貴重な情報源となっています。

邱会作の生涯は、中国革命の初期から文化大革命後の時代まで、中国現代史の激動を映し出しています。軍の後方部門を支えた実務家でありながら、林彪との関係によって政治の嵐に巻き込まれ、失脚と投獄を経験した彼の人生は、当時の中国における権力闘争の厳しさを物語っています。

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