郁久閭豆崙

郁久閭豆崙（いくきゅうろ とうろん）

郁久閭豆崙（? - 492年）は、5世紀後半の柔然の可汗であり、予成の子として生まれた。伏古敦可汗（ふくことんかがん）と号し、「恒可汗」の意味を持つ。

生涯

485年、父の予成が亡くなると、豆崙が跡を継いで伏古敦可汗となり、太平と改元した。しかし、その性格は残忍で暴虐であり、頻繁な殺戮を行った。このため、柔然の臣下である侯毉垔と石洛候は、たびたび豆崙を諫め、北魏との和睦を勧めて中国への侵攻を止めさせようとした。しかし、豆崙はこれに激怒し、石洛候を謀反の罪で陥れて殺害し、その一族を皆殺しにした。

486年1月、柔然は北魏の国境を侵犯した。しかし、同年3月には使者の牟提らを北魏に派遣して朝貢も行っている。この頃、勅勒が柔然に反乱を起こしたため、豆崙は自ら討伐に向かった。同年12月には再び北魏の国境を侵犯している。

487年8月、柔然は再び北魏の国境を侵犯した。これに対し、北魏の平原王陸叡は5千の騎兵を率いて討伐し、柔然の将である赤阿突らを捕虜とした。豆崙は頻繁に北魏への侵攻を繰り返したため、柔玄鎮将の李兜も討伐に当たった。この年、柔然に服属していた高車の阿伏至羅とその従弟の窮奇は、豆崙の北魏侵攻を諫めたが、聞き入れられなかったため、部下の10万戸余りを率いて柔然から離反した。豆崙はこれを討伐したが、敗戦を重ね、東へ移動した。

488年12月、柔然の伊吾戍主の高羔子が3千の兵を率いて北魏に帰順した。

489年には、柔然の別帥である叱呂勤が兵を率いて北魏に帰順した。

490年、地豆于や庫莫奚などの東夷諸族が相次いで北魏の国境を侵犯した。これは487年に豆崙が東へ移動したことが原因である。

492年8月、北魏の孝文帝は陽平王元頤と左僕射の陸叡を都督とし、領軍将軍の斛律桓ら12人の将軍に7万の騎兵を率いさせて豆崙を討伐させた。豆崙は叔父の那蓋とともに高車の阿伏至羅を攻撃した。豆崙は浚稽山の北から西方へ向かい、那蓋は金山（アルタイ山脈）から出撃した。豆崙は阿伏至羅に何度も敗北したが、那蓋は勝利を重ね、多くの戦利品を獲得した。これにより、柔然の民衆は那蓋に天の助けがあると考え、那蓋を推戴して可汗にしようとした。那蓋はこれを固辞したが、民衆は豆崙の母子を殺害し、その遺体を那蓋に示した。こうして那蓋は可汗位を継ぎ、候其伏代庫者可汗と号した。

可賀敦（皇后）

侯呂陵氏

参考文献

『南斉書』（列伝第四十 芮芮虜）
『魏書』（列伝第四十二 高閭、列伝第九十一 蠕蠕 高車）
『北史』（列伝第八十六 蠕蠕）

もう一度検索