郁久閭那蓋

郁久閭 那蓋（いくくろ なかい）

郁久閭 那蓋（? - 506年）は、5世紀末から6世紀初頭にかけて存在した柔然の可汗です。吐賀真の子で、予成の弟、豆崙の叔父にあたります。候其伏代庫者可汗（こうきふくたいこしゃかがん）という可汗号を持ち、これは「悦楽可汗」という意味です。

生涯

492年、兄の子である豆崙が柔然国人に殺害されると、叔父である那蓋が立ち上がり、候其伏代庫者可汗と号して即位しました。彼はこの時に称元し、太安元年としました。

南朝斉との関係では、永明年間（483年 - 493年）に柔然は斉の武帝に対し、医師や錦職の工匠、指南車、漏刻などを求めましたが、斉に拒否されています。このことから、当時の柔然が高度な技術や文化に関心を持ち、南朝斉との交流を通じてそれらを得ようとしていたことが伺えます。

497年には、高昌王の馬儒が北魏に内移しようとしたため、国人に殺害される事件が起こります。その後、麴嘉が高昌王として擁立され、柔然に臣従しました。この事件は、柔然が高昌国に対する影響力を行使し、自国に有利な状況を作り出そうとした結果と言えるでしょう。

501年7月には、柔然は北魏の国境を侵略しました。さらに、504年9月には、12万騎の大軍を率いて六道から同時に侵攻し、沃野鎮や懐朔鎮に至り、南の恒州や代郡を略奪しようと試みました。これに対し、北魏の宣武帝は左僕射の源懐に討伐を命じ、柔然軍を退却させることに成功しています。この一連の侵攻は、柔然が北魏に対して軍事的な優位を示そうとした行動であり、両国の緊張関係を象徴する出来事でした。

506年、那蓋は死去し、子の伏図が後を継いで他汗可汗と号しました。

子

伏図
鄧叔子

参考資料

『南斉書』（列伝第四十 芮芮虜）
『魏書』（列伝第二十九 源懐、列伝第九十一 蠕蠕 高車）
『北史』（列伝第八十六 蠕蠕）
『資治通鑑』

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