郡会

郡会についての詳細

郡会（ぐんかい）は、明治時代から大正時代にかけて日本に存在した地方公共団体の議会です。これは、地方行政の一環として郡に設置され、選挙で選ばれた郡会議員によって運営されました。

郡の行政制度の再構築

日本における郡制度は、1878年（明治11年）の郡区町村編制法によって復活しましたが、この時点では議会機関を持たないため、単なる行政区分に過ぎませんでした。1890年（明治23年）に制定された郡制により、郡は郡会と郡参事会を設置することになり、地方公共団体としての役割を果たすことが期待されました。

ただし、郡制が全国に適用されるには時間がかかり、明治24年にはまだ9県のみが実施したに過ぎませんでした。特に、東京、京都、大阪、神奈川、岡山、広島、香川の三府四県では、郡制が完全に適用されるのは明治32年まで待たなければならなかったのです。

郡会の構成と議員の選出

郡会は、町村会から選出される議員と、特定の大地主によって選ばれる議員で構成されていました。前者は全体の3分の1以下の割合を占め、議長は郡長が務めました。議員の任期は、町村議員が6年で3年ごとに半数が改選される一方で、大地主議員は3年ごとの任期でした。大地主議員は、郡内の土地の地価合計が1万円を超える者と規定されていました。第1回郡会議員選挙は1896年（明治29年）に行われ、その後も郡会は地域の重要な行政機関として機能しました。

1899年（明治32年）の郡制改正により、郡会議員選挙は国税3円以上を納付する有権者を対象とした直接選挙に移行しました。この時に大地主議員制は廃止され、その定数は町村に分配されました。これにより、郡会の構成はより民主的な方向へと進みました。

郡会の運営と独自性の欠如

郡会は、地方の有力者である地主が中心となっていたため、県会や町村会に比べて、特に議長が郡長であったことや、多くの議員が町村議員を兼職していたことから、自主的な政策提言がなされることは少なくなっていました。これにより、郡会は地方自治の象徴的存在であるにもかかわらず、その活力を発揮することは困難な状況でした。

郡制廃止に向けた動き

日露戦争後には郡制の廃止に関する議論が浮上しました。そして、1921年（大正10年）4月12日、原内閣によって郡制の廃止が実施されました。これに伴い、郡会と郡参事会は1923年（大正12年）に廃止され、その後、郡役所と郡長も1926年（大正15年）に消滅しました。以降、郡はただの地理的な名称として残ることとなり、地方自治のあり方が大きく変わることになりました。

このように、郡会は日本の地方行政において一時期重要な役割を担っていたものの、時代の変遷とともにその機能を失い、歴史の中に埋もれていったのです。

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