郡里廃寺跡

郡里廃寺跡の詳細

郡里廃寺跡（こおさとはいじあと）は、徳島県美馬市美馬町銀杏木に位置し、願勝寺近くに存在する古代寺院の遺構です。この遺跡は国の史跡に指定されており、重要な文化財とされています。

概要

この寺跡は、徳島県の西部にあたる吉野川中流域の扇状地に位置し、古代より「立光寺（りゅうこうじ）」として知られています。ただし、国史跡に指定される際、名称が「郡里廃寺」に変更されました。発掘調査は1967年から1968年、さらに2005年以降に実施されており、その成果が注目されています。

郡里廃寺では、法起寺式の伽藍配置が確認されており、金堂が西、塔が東に配置されています。この遺跡は徳島県内で最も古い寺院のひとつとされ、また、出土した段の塚穴型石室の古墳は、当時の有力豪族と関連があると考えられています。このため、地域の歴史を理解する上でも非常に重要な遺跡として位置づけられています。

1976年には寺域跡が国の史跡として指定され、その後も追加の調査が行われています。1997年と2006年にわたり史跡範囲が拡大され、発掘は現在も続いており、新たな発見が行われる可能性があります。

遺跡の構造

郡里廃寺跡の寺域は約94メートルの東西幅、120メートルの南北幅を持ち、塀で囲まれていたと推測されています。創建当初は土塁で守られ、周囲には石敷きがあったとされています。主要な建物である金堂と塔の遺構は、伽藍配置に従って並べられています。

金堂

金堂は本尊を祀る中心的な建物で、寺域の西側に位置しています。基壇の大きさは東西約18メートル、南北約15メートルで、長い年月の間にかなり削平されています。

塔

塔は釈迦の遺骨（舎利）を納めるために建立されたもので、寺域の中央東側に位置しています。塔の基壇は一辺が11.5メートルのサイズであり、一部が現在も残存しています。基壇の上には、当時の四天柱の礎石が見られ、舎利孔も確認されています。

その他の遺構

金堂と塔の間には、おそらく講堂の跡があると考えられていますが、これまでの調査ではその具体的な痕跡は確認されていません。また、寺域内からは瓦や青銅小片、土器、須恵器などの出土品が見つかっており、特に瓦は地元の坊僧窯跡群から供給されたと推測されています。

寺域の中心部には「中山路のイチョウ」と呼ばれる大きなイチョウの木が存在し、これは美馬市指定の天然記念物として保護されています。

文化財としての重要性

郡里廃寺跡は1976年に国の史跡に指定され、その後の追加指定もあります。この遺跡は美馬市の文化財としても位置づけられ、多様な出土品が地元博物館で展示されています。美馬市立郷土博物館や徳島県立博物館は、郡里廃寺から出土した貴重な資料を保管・展示し、地域文化の発展に寄与しています。

古代における寺院の役割や、地域社会との関係を学ぶための重要な遺跡である郡里廃寺跡は、今後もその調査や保存活動が続けられることでしょう。

もう一度検索