部落問題研究所

公益社団法人部落問題研究所

公益社団法人部落問題研究所（ぶらくもんだいけんきゅうしょ）は、日本国内における部落差別問題を扱う専門の研究機関です。本研究所は1948年に創設され、京都府の左京区に本部を置いています。部落差別の歴史的背景や社会的な問題に関する研究を重視し、関連する定期刊行物を発行しています。具体的には、月刊の『人権と部落問題』や季刊の『部落問題研究』があり、これらは研究者や一般市民に向けた重要な情報源となっています。

歴史的背景と設立

公益社団法人部落問題研究所は、1948年10月1日に創立されました。この際、朝田善之助や木村京太郎をはじめとする数名の学者がその中心となりました。設立からわずか数ヶ月後の12月には、新村猛が所長職に就任し、研究所の活動が本格的にスタートしました。1949年2月には機関誌『部落問題研究』の発刊が開始され、間もなく名称変更を経て、現在の『人権と部落問題』となりました。

1951年には文部省から認可を得て社団法人としての地位を確立し、学術研究機関としての活動を広げました。この年から部落問題講習会を主催し、奈良本辰也が理事長に就任し、その後16年間にわたりその役職を守り通しました。また、1952年には文部省からの補助金を受ける体制が整い、研究の充実を果たしました。

研修・研究活動の展開

設立以来、研究所は多岐にわたる研究テーマを設定し、1954年には井上清や奈良本辰也らによる通史『部落の歴史と解放運動』を発行しました。1963年からは全国の部落問題研究者を集めた集会も主催し、議論を深める場作りも行っています。1972年には、『水平運動史の研究』に対して毎日新聞社から学術奨励金を受けるなど、評価と支援も得てきました。

対立と裁判

1957年以降は、研究所紀要『部落問題研究』の発行も続き、さらに1965年からは部落解放同盟との間で意見の相違が明らかになり、対立関係に発展しました。特に、同年の同和対策審議会答申に関する評価を巡り衝突が生じ、翌年には文化厚生会館事件にあたる事例での対立も顕在化しました。この事件が引き金となり、奈良本辰也をはじめとする理事が辞任する事態も起きました。

1991年には、部落解放同盟から名誉毀損で提訴される事態に至りましたが、この裁判は研究所が「解同」の行為を法廷で追及する形となりました。その結果、1994年に部落解放同盟が提訴を取り下げるに至り、研究所は自己の正当性を主張する声明を発表しました。

現在の活動

現在、公益社団法人部落問題研究所は、部落差別問題の解決に向けた研究や啓発活動を続けています。部落問題についての理解を深めるための定期刊行物の発行を通じて、広く情報を発信しています。また、日本共産党や全国地域人権運動総連合との協力関係を持ちつつも、部落解放同盟とは厳しい対立を続けています。

このように、部落問題研究所は日本の部落差別問題の研究と解決に向けた重要な役割を果たしています。

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