郭敦

郭敦（かく とん）は、明代の官僚で、字を仲厚と称しました。洪武3年（1370年）に博州堂邑県で生まれ、宣徳6年4月11日（1431年5月22日）に62歳でその生涯を閉じました。

若き日の研鑽と地方での善政

郭敦は、郭政寛と侯氏の子としてこの世に生を受けました。幼少期から学問に励み、洪武26年（1393年）には郷試に合格し、太学へと進みました。その後、戸部広西清吏司主事に抜擢され官僚としてのキャリアをスタートさせます。その能力は高く評価され、衢州府知府に転任すると、地方官としてその手腕を遺憾なく発揮しました。彼の善政は民衆からの厚い信頼を得て、その名は広く知れ渡りました。

中央での活躍と重用

永楽帝の時代に入ると、郭敦はその卓越した能力が認められ、南京に召還されることになります。この際、彼が善政を敷いた衢州の数百人もの人々が宮殿にまで押し寄せ、郭敦の留任を嘆願したという逸話が残っています。しかし、永楽帝はこれを聞き入れず、郭敦は中央での任務に就くことになりました。
その後、廷臣たちの推薦により監察御史に任じられ、河南左参政、さらに陝西左参政へと転任を重ね、各地でその手腕を発揮しました。永楽16年（1418年）には、胡濙の推薦により礼部右侍郎に抜擢され、太僕寺卿を兼任するなど、その地位は確固たるものとなっていきます。

晩年と死

永楽19年（1421年）には、給事中の陶衎と共に順天巡撫を任され、永楽20年（1422年）には、永楽帝の漠北遠征における食糧輸送を監督するなど、国家の重要任務を担いました。永楽22年（1424年）に洪熙帝が即位すると、喪中にあって斎戒を怠ったとして、太僕寺卿に降格されましたが、まもなく戸部左侍郎に進み、詹事府少詹事を兼ねました。宣徳2年（1427年）8月には、ついに戸部尚書へと昇進し、その官僚としてのキャリアを頂点を極めます。しかし、宣徳6年（1431年）4月、在官のまま62歳で亡くなり、その生涯を閉じました。

人となりと評価

郭敦は、その職務に対して真摯で、民を思う心を持ち合わせた人物でした。地方官として善政を敷き、民衆からの信頼が厚かったことは、衢州の民が留任を嘆願したことからも窺い知れます。また、中央においてもその能力を高く評価され、重要な任務を任されました。彼の功績は、明代の歴史にその名を刻み、後世に語り継がれています。

参考文献

『明史』巻157 列伝第45
故資政大夫戸部尚書郭公墓誌銘（楊士奇『東里文集』巻19所収）

これらの資料は、郭敦の生涯や業績をより深く理解するための重要な手がかりとなります。

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