郵便貯金制度

郵便貯金制度について

郵便貯金制度とは、郵便局を利用して国民に金融サービスを提供する制度のことを指します。これは国が運営するもので、特に地域によって民間銀行のサービスが行き渡らない場合においても、全国的に均一な金融サービスを確保する目的があります。

制度の趣旨と沿革

この制度は、国民の貯蓄を奨励し、地域差を克服するために各国政府によって設立されました。アメリカでは当初、目的通りの発展が見られませんでしたが、ヨーロッパの国々では金融の自由化が進む中で、郵便貯金制度もそれに対応してサービスの充実を図り、当初の理念を追求しています。特にドイツやフランスでは、公共性を持ちながらも経営の効率化を目指し、公社化や民営化が進められました。

ただしドイツでは、店舗数の減少といった課題が存在し、より利便性を向上させるために、ATMの導入やテレホンバンキングが積極的に活用されています。

国ごとの状況

イギリス

イギリスの郵便貯金制度は1861年に設立され、「近代郵便の父」として知られるローランド・ヒルによって始まりました。当初は全国スケールで安全な銀行を市民に提供することを目的としていました。1969年には国民貯蓄庁が設置され、その後国営の郵便貯蓄銀行に移行しました。1980年代以降は、政策の多様化が進み、住宅金融や社員債券など様々な商品が導入されました。しかし、シェアは1990年代以降横ばいのままとなっています。

アメリカ

アメリカで郵便貯金は1911年にスタートしましたが、段階的に預入限度が引き上げられていく中、過去の大恐慌などの影響により人気を博しました。しかし、1933年に預金保険機構が創設されたあたりから、民間金融機関に利用者が戻る傾向が見られ、最終的には1966年に制度自体が廃止されました。制約が多かったため、民間銀行との競争に負けてしまったと言えるでしょう。

フランス

フランスでは、1881年に銀行が設立され、初めは通常貯金のみを扱っていました。その後、商業銀行の競争が激化すると共に、郵便貯金業務も拡大し、多様なサービスが提供されるようになりました。2006年には「郵便貯金銀行」が設立され、住宅ローンを通じたサービス拡充を狙っていますが、政府の関与が強く、依然として民業圧迫の懸念があります。

ドイツ

ドイツでは、1907年に郵便の振替サービスが始まり、1939年から本格的に郵便貯金制度が導入されました。2000年代には公社化や民営化が進み、ポストバンクとして運営されていますが、競争が激化し、サービスも多様化しました。しかしその一方で批判も多く、経営改善が求められています。

イタリア

イタリアでは1875年から郵便貯金が運営され、過疎地域における金融サービスの必要性から広く利用されてきました。最近の金融環境の変化はあったものの、政府の信頼によって安定したシェアを保っています。

ニュージーランド

ニュージーランドにおいては、1987年に公社として「ポストバンク」が設立され、その後民営化されました。現在では、郵便局を活用した金融サービスが再び提供されており、国民のニーズに対応する形で展開されています。

結論

郵便貯金制度は、国境を越えた共通目的に基づいており、各国の歴史や経済状況に応じて変遷してきました。民間金融機関との競争や規制対応など様々な課題が存在しますが、国民にとっての安定的な貯蓄手段として重要な役割を果たしています。

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