都於郡城

都於郡城について

都於郡城は、宮崎県西都市に位置する山城で、その歴史は南北朝時代にまで遡ります。1337年、伊東祐持によって築城され、伊東氏が日向国で勢力を拡大する上での重要な拠点となりました。別名「浮船城」とも呼ばれ、その名の通り、周囲の水堀に城が浮かんでいるように見える美しい景観が特徴です。

歴史

都於郡城は、伊東氏の隆盛とともに発展しました。築城当初は小規模なものでしたが、祐持の子である伊東祐重の代には大規模な改修が行われ、城の規模は大きく拡大しました。しかし、その歴史の中で、度重なる戦乱や失火に見舞われ、特に1504年の大火では城の大部分が焼失するという被害も経験しています。その後、伊東氏は日向国の大半を領有し、都於郡城は佐土原城と並び伊東氏の本城として繁栄しました。

1577年、伊東氏は島津氏の侵攻により一時的に衰退し、都於郡城は島津氏の手に渡りました。しかし、豊臣秀吉の九州征伐により、島津氏は日向国から駆逐され、都於郡城は城主不在のまま廃城となりました。江戸時代に入ると、伊東氏は飫肥城を本拠地とし、都於郡城は1615年の一国一城令によって正式に廃城となりました。

2000年、都於郡城は国の史跡に指定され、翌年からは整備に伴う遺構確認調査が行われています。また、この城で生まれた伊東マンショを記念した像も設置されています。

構造

都於郡城は、標高約100メートルの丘陵に築かれており、本丸を中心に二ノ丸、三ノ丸、奥ノ城、西ノ城の五つの主要な曲輪があります。さらに、これらの曲輪を囲むように帯曲輪や腰曲輪が配置され、東西約400メートル、南北約260メートルの広大な敷地を誇ります。

特筆すべきは、五城郭に加えて、日隠城をはじめとする7つの出城が存在することです。これらの出城は、丘陵の先端に築かれ、物見櫓としての機能や、主要な往来を監視する番所のような役割を担っていたと考えられています。また、総延長約4キロメートルにも及ぶ水堀や池が城域全体を囲み、中世の城郭の典型的な様式を示しています。城域全体は東西約2キロメートル、南北約1キロメートルに及び、当時の西国では指折りの規模を誇っていました。

城の外堀として利用された三財川は、城壁が水面に映ることから「浮船城」の異名を生み、美しい景観を作り出していました。また、城下には多くの神社仏閣が集められ、非常時の防衛拠点としての役割も果たしていました。具体的には、若宮権現、荒武神社、大安寺、光照寺など、8つの神社と20もの寺院が存在しました。

都於郡城は、その規模、構造、そして歴史的背景から、中世の南九州における城郭の典型的な例として、非常に重要な史跡であると言えるでしょう。

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