佐土原城

佐土原城：日向の歴史を刻む城

佐土原城は、現在の宮崎県宮崎市佐土原町上田島に位置する、かつての日本の城です。この城は、伊東四十八城の一つとして数えられ、江戸時代には佐土原藩の藩庁が置かれるなど、地域の政治・経済・文化の中心地として重要な役割を果たしました。2004年には「佐土原城跡」として国の史跡に指定され、その歴史的価値が改めて認識されています。

佐土原城の歴史

佐土原城の歴史は、14世紀半ば頃に伊東氏の一族である田島休助によって田島城として築かれたことに始まります。その後、1427年頃には伊東氏の一族である伊東祐賀が入城し、佐土原氏を名乗るようになります。この頃から、城は通称として佐土原城と呼ばれるようになりました。1480年には、伊東祐国が佐土原氏の養子に入り、正式に伊東氏が佐土原城を支配することとなり、伊東四十八城の一つとして重要な位置を占めるようになりました。

1536年には城が焼失しましたが、1542年から1543年にかけて田島城の跡地に鶴松城として再建されました。この城は、伊東氏の居城である都於郡城と並ぶほどの規模に整備されました。しかし、その後伊東氏は島津氏の侵略により一時的に豊後国へ退去し、島津家久が城主となります。豊臣秀吉による九州平定後、島津氏は降伏し、家久の息子である豊久が城主となりました。

関ヶ原の戦いでは島津家は西軍に与し、豊久は討ち死にしました。その後、徳川家康の家臣である庄田三太夫が城を預かることとなり、1603年には島津以久が3万石を領して入封し、以後明治時代まで佐土原を治めることとなりました。

1625年には、2代藩主である島津忠興が城を山の上から山の下へ移しました。これは、城郭の老朽化による修繕費の増大と、武家諸法度による城郭に対する規制が理由と考えられています。この際、城の正式名称は本家の鶴丸城と同様に「松鶴城」となりました。

1870年には城が広瀬へ移転したため、建造物は全て破却されました。しかし、1993年には発掘調査の成果をもとに二の丸御殿の一部が復元され、往時の姿を偲ぶことができます。2017年には続日本100名城に選定され、2018年の台風による被害からの復旧を経て、2021年に再開放されました。

天守の存在

佐土原城には、江戸時代に描かれた屏風に三重の櫓が描かれており、天守の存在が示唆されていました。1996年の発掘調査では天守台跡と金箔瓦の破片が見つかり、佐土原城に天守に当たる建物が存在したことが確実となりました。これは、日本最南端の天守台として確認されています。天守がいつ建てられたかについては諸説あり、今後の調査が期待されています。

佐土原城は、その長い歴史の中で様々な変遷を経験し、多くの人々の記憶に刻まれてきました。現在も残る城跡は、訪れる人々に歴史のロマンを感じさせ、地域の文化遺産として大切にされています。

参考文献

木村明史「佐土原城跡について : 日本最南端の天守台が現存する山城」『中世城郭研究』第20号、中世城郭研究会、2006年

外部リンク

佐土原城跡 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
* 宮崎市佐土原歴史資料館

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