都農神社

都農神社（つのじんじゃ）

宮崎県児湯郡都農町に鎮座する都農神社は、日向国の一宮として古くから崇敬を集める神社です。旧社格は国幣小社で、現在は神社本庁の別表神社となっています。地元では「一の宮神社」とも呼ばれ、親しまれています。

祭神

主祭神は大己貴命（おおなむちのみこと）です。大国主命（おおくにぬしのみこと）と同一視され、古くから都農町一帯の守り神として祀られてきました。土地の神としての性格が強く、地域住民からの信仰も篤いです。

古書には「吐乃（つの）大明神」とも記され、疱瘡の治療に霊験があるとの記述も見られます。また、田畑の虫害を防ぐ神としても信仰されていました。

歴史

創建

社伝によれば、神武天皇が東征の際にこの地に立ち寄り、鎮祭したのが始まりとされています。また、神功皇后が三韓征伐の際に船の守護神として「吐乃大明神」を勧請し、帰還後に社殿を造営したという説もあります。

都農町一帯は縄文時代から人が居住しており、古墳も多く見られます。都農神社周辺からも土器や石器が出土しており、この地が古くから神聖な場所であったことが窺えます。

概史

承和4年（837年）に官社に列し、その後も位階が昇叙され、延喜式神名帳にも記載されるなど、朝廷からも重視されました。当時は壮大な社殿と広大な境内を有し、日向国第一の大社として隆盛を誇りました。

しかし、戦国時代には大友氏と島津氏の争乱に巻き込まれ、社殿や社宝、古文書などを焼失し、一時衰退しました。その後、江戸時代には高鍋藩主によって再興され、藩主からの崇敬を受けました。

明治時代には国幣小社に列格し、戦後は神社本庁の別表神社となっています。近年では本殿の再建や境内の整備が行われ、現在に至ります。

神階

承和4年（837年）：官社に列格（表記は「子都濃神」）
承和10年（843年）：従五位下（表記は「都濃皇神」）
天安2年（858年）：従四位上

境内

本殿は一間社流造で銅板葺き。千木・鰹木を置き、平成19年に再建されました。

拝殿は入母屋造で、正面に千鳥破風と軒唐破風が設けられています。こちらも平成19年に再建されたものです。

かつては都農高校近くに一の鳥居があり、その広さから往時の威勢が偲ばれます。

摂末社

奥宮：瀧神社（祭神：高龗命）。不動滝を祀っています。
摂社：素盞嗚神社（祭神：素盞嗚命）、足摩乳神社・手摩乳神社（祭神：足摩乳命、手摩乳命）。
末社：稲荷神社（祭神：宇加之御魂命）、愛宕神社（祭神：火産霊命）、熊野神社（祭神：速玉男命、事解男命、菊理比売命）。

祭事

年間祭事

夏祭（8月1日-2日）：御神幸祭とも呼ばれ、神輿が町内を巡幸します。
冬祭（12月4日-5日）：夜通し神楽が奏され、5日に例大祭が執り行われます。

文化財

都農町指定天然記念物：都農神社の楠
その他：面（木製、伝秦河勝奉納）、甲冑（紺糸威、秋月種樹奉納）

現地情報

所在地：宮崎県児湯郡都農町大字川北13294

交通アクセス：JR日豊本線都農駅から徒歩約20分、車で約5分

周辺：都農古墳群

脚注

参考文献：神社由緒書、『日本歴史地名体系 宮崎県の地名』、中村明蔵「都農神社」、宮地直一・佐伯有義監修『神道大辞典 縮刷版』、式内社研究會編『式内社調査報告』

関連図書：安津素彦・梅田義彦編集兼監修者『神道辞典』、白井永二・土岐昌訓編集『神社辞典』

外部リンク

日向国一之宮 都農神社（公式サイト）
都農神社（國學院大學21世紀COEプログラム「神道・神社史料集成」）

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