鄧演達

鄧演達の生涯と業績

鄧演達（とう えんたつ）は、1895年3月1日に生まれ、1931年11月29日に命を落とした中華民国の軍人および政治家です。彼は国民政府において軍人として活躍し、特に粤軍（広東軍）の指揮官として知られています。また、中国国民党内で左派の中心人物となり、国民党・共産党の双方に対抗する第三党を創設しました。「字」は択生です。

早い頃の経歴

鄧演達の父は秀才であり、恵陽県城で塾教師として働いていました。彼は1909年に広東陸軍小学に入学。その際、後に彼の指導者となる鄧鏗と出会いました。辛亥革命が起きると鄧も革命派の軍隊に参加し、1914年には武昌陸軍第二予備学校に入学しました。1916年には保定陸軍軍官学校に進み、1919年に卒業。その後、彼は西北地方で訓練を受け、1920年には広州に戻り、粤軍の一員として活動を始めました。ここから彼の軍事キャリアが本格化していくことになります。

粤軍での台頭

鄧演達は粤軍第1師において、参謀や工兵営長などの役職を歴任し、特に孫文を支持して反乱を起こした陳炯明の討伐に成功を収めました。1924年に設立された黄埔軍官学校では教練部副主任に就任し、多くの学生を訓練し、優れた部隊を誕生させることに貢献しました。しかし、教練部主任との対立から辞任し、その後は欧州を訪問しました。訪問中にマルクス主義に興味を持ち、中国共産党の指導者との交流も始まります。

北伐での貢献

帰国後、鄧演達は中国国民党第2回全国代表大会で中央執行委員に選出され、再び重要な役割を果たすことになります。特に、国民党の北伐において重要な指導的地位に就き、武昌攻略戦では前線での督戦を行い、多くの成果を上げました。しかし、国民党内部での権力闘争により、彼の立場は次第に厳しくなり、蔣介石の反革命行動に対して公然と異議を唱えた結果、失脚してしまいました。

武漢国民政府での挫折

武漢国民政府においても当初は影響力を持っていましたが、内部の対立が激化し、特に右派との摩擦が目立ちました。1927年には蔣介石を討伐し、さらなる農民解放運動を支持する姿勢を強めました。しかし、彼の理念は国民党内で孤立し、最終的にはモスクワに亡命することとなりました。その後、反蔣介石運動を推進していましたが、彼の指導者としての活躍は困難なものとなっていきました。

第三党指導者としての活動

1930年、鄧演達は帰国し、上海において中華革命党を改組し、「中国国民党臨時行動委員会」（通称：「第三党」）を設立しました。彼は農民や労働者を中心とした政権の樹立を目指し、地方組織を結成し、月刊誌『革命行動』を刊行しました。このように彼は国民党や共産党とは異なる独自の路線を追求しました。特に粤軍時代の同志との連携を強め、反蔣活動を展開したものの、各派間の軋轢や時代の流れにより彼の計画は実現しませんでした。

最後の日々

最終的に鄧演達は、1931年8月に同志の裏切りによって拘束され、南京で秘密裏に処刑されました。享年37。彼の死後も、第三党は他の同志たちによってその活動を続け、1947年には中国農工民主党と改称され、現在でも中華人民共和国の中で存続している組織となっています。鄧演達の生涯は、時代の激流の中での貴重な一幕を示しており、彼の理想や信念は未だに多くの人々に影響を与えています。

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