黄埔軍官学校

黄埔軍官学校

黄埔軍官学校は、1924年に孫文によって広州市黄埔に設立された、中華民国陸軍の士官学校の設立当初の通称です。設立には、孫文の顧問であったコミンテルンのミハイル・ボロディンの進言が大きく影響しました。当時、第一次国共合作が行われていた背景から、国民党だけでなく共産党の軍人も入校しました。

歴史

北伐を目指す孫文は、1923年8月に蔣介石をソ連に派遣し、軍制を視察させました。1924年1月20日、広州で国民党第一回全国代表大会が開かれると、連ソ容共政策が具体化し、軍閥から独立した党軍が必要であるという結論に至りました。その結果、士官学校の創設が決定し、場所は以前、広東陸軍学堂と広東海軍学校があった、広東省広州の長洲島にある黄埔に定められました。

同年5月、蔣介石が校長に、廖仲愷が国民党代表に、李済深が教練部主任に就任し、共産党員からも葉剣英が教授部副主任、周恩来が政治部副主任に就任しました。毛沢東も面接官として関わりました。3,000名の受験生の中から選ばれた350名が入学し、6月16日に開校式典が挙行されました。孫文の演説は、後に中華民国国歌の一節となります。

黄埔軍官学校には、当時革命軍にいた多くの才能ある人材が集まりました。卒業生の中には、後に人民解放軍の指揮官となった徐向前や、国民党軍の指揮官となった杜聿明、胡宗南、鄭洞国などがいます。また、教師と卒業生で組織された革命軍「教導団」は、1925年1月の第一次東征後に「党軍」となりました。

黄埔軍官学校の卒業生は、国民革命軍の中核となり、国民政府の統治に大きく貢献しました。これにより、蔣介石は急速に影響力を増大させました。国民党だけでなく、共産党の林彪、彭徳懐、陶鋳などもこの学校の出身者です。黄埔軍官学校の設立によって、国民党は地方軍閥に依存することなく、国民革命を推進できるようになりました。

学校の初期の教員は、ソ連からの派遣が多く、ヴァシーリー・ブリュヘルなど赤軍の指揮官もいました。しかし、北伐中に国共分裂が起こると、ソ連や共産党系の教員、学生は引き上げました。

1928年に広州が軍閥の攻撃を受けると、学校は南京に移転し、1938年には日本軍の南京占領に伴い、成都に移りました。第二次世界大戦後、国共内戦で共産党が勝利し、国民党は台湾に逃れました。1950年、黄埔軍官学校は台湾の高雄県鳳山市で、陸軍軍官学校として再建されました。黄埔軍官学校の跡地は、1988年に中華人民共和国の全国重点文物保護単位に指定されています。

脚注

黄埔軍校同学会
黄埔海軍学校
保定陸軍軍官学校
中山艦事件
陸軍軍官学校 (中華民国)
黄埔軍官学校の人物一覧
モスクワ中山大学 - 孫文のために設立された革命家養成機関
国立中山大学 - 民国の「文武両学府」の一つ

参考文献

サンケイ新聞『蔣介石秘録 6 共産党の台頭』サンケイ新聞、1975年
森下修一『国共内戦史』三州書房、1970年

外部リンク

* 台湾陸軍軍官学校公式サイト（中国語）

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