鄭烘原

鄭烘原（チョン・ホンウォン）

鄭烘原（チョン・ホンウォン、정홍원、1944年10月9日 - ）は、韓国の弁護士、検察官、政治家です。釜山地検検事長、法務研修院長などを歴任し、2013年2月から2015年2月まで国務総理（首相に相当）を務めました。その経歴は多岐にわたり、法曹界だけでなく、選挙制度改革にも深く関与しました。

生い立ちと検察官としてのキャリア

1944年、日本統治下の慶尚南道で生まれました。晋州師範学校、成均館大学校を卒業後、1972年に司法試験に合格し、1974年に検察官としてキャリアをスタートさせました。ソウル地検永登浦支庁を皮切りに、最高検察庁中央捜査部課長、ソウル中央地検特殊部長、釜山地方検察庁検事長、光州地方検察庁検事長など、主要なポストを歴任し、30年間にわたり検察官として活躍しました。2003年には法務研修院長、2008年には大韓法律救助公団理事長に就任しています。その後は弁護士として活動しました。

選挙制度改革への貢献

法曹界での活動に加えて、鄭烘原は中央選挙管理委員会の常任委員としても活動しました。韓国で初めてマニフェスト運動を提唱し、電子投票制度の導入にも関わるなど、選挙制度の改革に尽力しました。これらの取り組みは、韓国の民主主義の発展に貢献したと評価されています。

国務総理への就任と辞任騒動

2012年の総選挙では、与党セヌリ党の公認候補審査委員長を務め、この際に朴槿恵（パク・クネ）大統領との縁ができました。2012年12月の大統領選挙で朴槿恵が当選し、当初は金容俊（キム・ヨンジュン）元憲法裁判所長が首相候補に指名されましたが、人事聴聞会前に不動産投機疑惑などで辞退しました。その後、鄭烘原が新たな首相候補として指名され、2013年2月26日に国務総理に就任しました。

しかし、鄭烘原も息子の兵役免除疑惑が指摘され、批判も受けました。また、在任中は朴槿恵大統領の原稿をそのまま読み上げる「代読首相」と批判されることもありました。2014年4月16日に発生したセウォル号沈没事故では、政府の対応の不手際が指摘され、鄭烘原は4月27日に辞任を表明しました。ところが後任の人選が難航し、安大熙（アン・デヒ）、文昌克（ムン・チャンク）と次々に辞退者が続出したため、最終的に6月26日に鄭烘原の留任が決定しました。一度辞任を表明した国務総理が留任するのは、韓国憲政史上初のことでした。

退任後

2015年1月23日、セヌリ党の李完九（イ・ワング）院内代表が次期国務総理候補として発表され、2月16日に李完九の任命同意案が国会で可決されたことで、鄭烘原は国務総理を退任しました。2020年7月には動画を公開し、文在寅（ムン・ジェイン）大統領を批判し、野党にも注文をつけました。

対日政策

鄭烘原は、歴史認識問題において日本に対して厳しい姿勢を示しています。2013年の殉国先烈の日記念式では、「日本はまだ歴史について真の謝罪と反省を見せていない」と演説しました。また、2015年の記者会見では、日本の嫌韓感情について「韓国は日本の兄の国である」と主張し、日本の心理的な問題が背景にあるとの見解を示しました。

まとめ

鄭烘原は、検察官、弁護士、政治家として多彩なキャリアを持ち、韓国社会に大きな影響を与えた人物です。国務総理として激動の時代を経験し、その言動は常に注目を集めてきました。彼の経歴は、韓国の現代史を理解する上で重要な要素となっています。

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