酒井忠邦

酒井忠邦：激動の時代を生きた姫路藩最後の藩主

酒井忠邦（さかい ただくに）は、江戸時代末期の大名であり、明治時代初期の日本の華族です。雅楽頭系酒井家の23代当主として、播磨姫路藩の第10代（最後）の藩主、そして同藩の初代にして最後の知藩事を務めました。位階は従三位。

生涯

嘉永7年（1854年）に、上野伊勢崎藩主・酒井忠恒の九男として江戸の伊勢崎藩邸で生まれました。先代の姫路藩主であった酒井忠惇は、鳥羽伏見の戦いで徳川慶喜に従い江戸へ逃亡。このため、官位を褫奪され蟄居という処分を受けました（明治2年に赦免され、明治13年に姫路酒井家から分家し、華族の男爵家となっています）。

慶応4年（1868年）5月2日、忠邦が家督を相続しました。新政府への恭順を示すため、忠邦は新政府に対して15万両という多額の献金を行い、旧幕府派の家臣を大量に処分（戊辰の獄）しました。明治元年11月には、版籍奉還の建白書を提出し、版籍奉還の実施により知藩事となりました。しかし、明治4年（1871年）7月14日の廃藩置県により免官。東京へ移り、慶應義塾に入学しました。同年12月にはアメリカへ留学し、4年間滞米した後、帰国しました。

明治12年（1879年）3月25日、26歳という若さで死去。長男の忠興は、忠邦の死から2か月余り後の同年6月6日に誕生しました。そのため、酒井家の当主は一時的に忠邦の正室である鏐子の父・忠顕の未亡人である文子が就き、忠興が満8歳になるまでその地位にありました。

略歴

1854年（安政元年）：伊勢崎藩主・酒井忠恒の九男として江戸に生まれる。
1868年（明治元年）：酒井忠惇が強制的に隠居となり、家督を継ぐ。
版籍奉還により知藩事となる。
1871年（明治4年）：廃藩置県により知藩事職を免官となる。
1879年（明治12年）3月25日：死去。

まとめ

酒井忠邦は、幕末から明治初期という激動の時代に、姫路藩主として藩の舵取りを担い、若くして亡くなった人物です。新政府への恭順を示す一方で、家臣の処分や献金など、苦渋の決断も迫られました。短い生涯ながらも、日本の近代化に貢献した一人として、その名は歴史に刻まれています。



参考文献
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成 上巻』霞会館、1996年（平成8年）。ISBN 978-4642036702

外部リンク
* 長谷川君父子瘞髪碑語釈

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