酪酸ブチル

酪酸ブチル（Butyl Butyrate）

酪酸ブチルは、化学構造式C8H16O2を持つ酪酸エステルの一種です。この化合物は特に新鮮なバナナやパイナップルが持つ香りに似ており、その芳香性からさまざまな香料に利用されています。食品添加物としての用途が豊富で、フルーツのフレーバーからバター、ナッツ、さらには洋酒の風味付けにも適しています。

用途

酪酸ブチルは、食品香料業界で特に人気があり、主にチューインガムなどのお菓子類におけるフレーバー添加物として使用されています。その使用量は製品によって異なりますが、チューインガムではおおよそ150から1500ppm、その他の食品用途では8.6から24ppm程度が一般的です。加えて、化粧品や口紅の調合香料としても若干の量が使われています。これにより、香料としての多用途性が生まれています。

安全性

酪酸ブチルの安全性に関しては、日本の消防法では危険物の一つとして分類されており、具体的には第4類・第2石油類に位置付けられています。このため、取り扱いや保管には十分な注意が必要です。また、動物実験における半数致死量（LD50）のデータも存在します。ラットに対する経口投与の結果、2.3g/kgという値が示されており、ウサギに対する皮膚投与では5g/kg以上の値が報告されています。これは化合物の毒性を考慮する際の重要な指標とされます。

関連項目

酪酸ブチルに関連する化合物として、分子式が同一の異性体も存在しています。その一例としては、酢酸ヘキシルやギ酸ヘプチルが挙げられます。これらは酪酸ブチルと同様に、特有の香りや特性を有し、香料業界において興味深い存在です。

このように、酪酸ブチルは多様な用途を持つ化合物である一方、安全性に関しても注意が必要な物質です。その香りの特性が多くの製品に活用されていることから、今後もさまざまな分野での利用が期待されます。

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