酪酸メチル

酪酸メチルの概要

酪酸メチル（らくさんメチル、英: methyl butyrate）は、化学式C3H7COOCH3を持つ酪酸エステルの一種です。この物質はブタン酸メチルとも称され、特に食品用香料として広く利用されています。自然界においては、さまざまな果物においてその成分を見つけることができ、そのため果物の香りを再現する際に非常に有効な成分です。

主な用途

酪酸メチルは主にフルーツ系のフレーバーとして使用され、濃度は通常17ppmから220ppmの範囲内です。この香料は井上香料製造所やシグマアルドリッチといった会社が製造しています。近年では、その特性を活かしたバイオディーゼル燃料としての利用も研究されており、持続可能なエネルギー源としての可能性も秘めています。

安全性について

酪酸メチルは引火性が高いため、日本の消防法においては危険物第4類および第1石油類に分類されています。安全に取り扱うためには、その特性を理解しておくことが重要です。動物実験においては、ラットに対する経口摂取及びウサギに対する経皮摂取での半数致死量（LD50）は5g/kg以上となっており、適切な取り扱いや使用上の注意が求められます。

関連項目

酪酸メチルと同じ分子式C5H10O2を持つ異性体には、吉草酸、3-メチルブタン酸、ピバル酸、プロピオン酸エチルなどがあります。これらの物質はそれぞれ独自の特性や利用方法を有しており、香料や化学物質の研究において興味深い対象となっています。

結論

酪酸メチルは、食品業界における重要な香料のひとつであり、果物の香りを再現するための優れた素材です。さらに、新しい用途としてバイオディーゼル燃料としての研究も進んでおり、今後の発展に期待が寄せられています。安全性への配慮も必要ですが、正しく扱えば、その多様な可能性を楽しむことができる化学物質です。

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