里田原遺跡

里田原遺跡

里田原遺跡は、長崎県平戸市田平町里免に位置する遺跡で、長崎県の指定文化財（史跡）となっています。遺跡は、海抜50〜60メートルの丘陵に囲まれた小盆地の底に位置しています。

概要

この遺跡は、旧石器時代から中世にかけての稲作遺構を中心とした複合遺跡です。1972年（昭和47年）から1987年まで、23回にわたる発掘調査が長崎県と田平町教育委員会によって行われました。その結果、水田や水を引き込むための水門、板や杭を用いた護岸の遺構、鍬や鋤などの農業用具、弓やタモなどの漁労用具、しゃもじや藤籠といった生活用具など、多数の木製用具が発見されました。特に、鍬はその特徴から「里田原式」と呼ばれています。

稲作の痕跡

遺跡からの花粉分析によれば、柏崎式（夜臼式）土器の時期には、イネ属型の花粉と珪藻の破片が急増しています。同時に、シイノキ属やアカガシ亜属などの照葉樹林を構成する主要な植物の花粉が激減しています。また、イネ属型の花粉とともに、オモダカ属やミズアオイ属などの水田雑草の花粉も増加しています。これらの結果から、夜臼式土器の時代には、すでに水田稲作農業が導入されていたことが明らかになりました。さらに、柏崎式土器の時期に稲作が開始されていたことは、プラントオパールの分析結果からも裏付けられています。

弥生時代の文化

また、遺跡からは支石墓も確認されており、弥生時代当時としては最先端の文化が根付いた集落が存在していたと考えられています。

出土品の展示

出土品の多くは、1982年（昭和57年）に遺跡に隣接して開館した田平町立（現平戸市立）里田原歴史民俗資料館に収蔵・展示されています。これらの展示品を通じて、里田原遺跡から発掘された貴重な遺構や遺物、そして古代の人々の生活や文化に触れることができます。

まとめ

里田原遺跡は、日本の稲作の歴史や、古代の人々の生活を知る上で非常に重要な遺跡です。出土品は里田原歴史民俗資料館で見学できます。

参考文献

田平町郷土誌（田平町郷土誌編纂委員会編・田平町教育委員会発行）

関連項目

旧石器時代の遺跡一覧
弥生時代の遺跡一覧
長崎県指定文化財一覧
* 九州・沖縄地方の史跡一覧

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