里見明

里見明の生涯と業績

里見 明（さとみ あきら）は、1901年5月16日に東京で生まれ、本名は松本 米三（まつもと よねぞう）です。彼はサイレント映画時代に活躍した日本の俳優であり、「浅草オペラ」のスターとして名を馳せました。1945年までの日本映画界における重要な人物の一人と言えます。

初期の経歴

里見は兄の影響を受けて、昭和初期の日本の演劇界に身を投じました。築地工手学校を卒業後、洋画を学ぶものの、演技の道へ進むことを決意しました。佐藤紅緑の劇団「日本座」に入団し、函館で初舞台を踏んだ後、浅草の観音劇場や新日本劇団で成長します。

やがて、彼は「浅草オペラ」の根岸大歌劇団に参加し、「小松明」という名で人気を博しました。1923年には兄の監督作『親なき雀』で映画デビューを果たし、これが俳優としての大きな一歩となりました。その後も数々のヒット作に出演し、一躍映画界のスターへと駆け上がりました。

映画俳優としての成功

1924年には、兄が監督した映画『籠の鳥』が大ヒットし、里見の名声はますます高まりました。同作は、帝国キネマとしては初の記録的な成功を収めました。また、1925年にはアシヤ映画製作所の設立に関わり、そこでの活動を通じてさらなる成長を遂げます。

1926年には、自ら脚本を手掛けた『美しき敗残者』を主演作として公開しましたが、これが彼の唯一の監督作となりました。里見は俳優業だけでなく、裏方としても積極的に関与していたことがわかります。

経営の激動と波乱の人生

しかし、1929年には河合プロダクションが設立され、彼は兄との協力のもと、映画の制作に取り組みました。ここでの主演作『怒れる人気男』を最後に、河合を退社し、東亜キネマに移籍します。

その後、1931年には東活映画社に移り、さまざまな会社を渡り歩くこととなります。彼のキャリアは所属する会社の経営不振によって多くの困難を経験しますが、映画界から姿を消すことはありませんでした。

引退と晩年

里見は、1934年には市川右太衛門のプロダクションに招かれ、3作品に出演しました。しかし、俳優業を続ける中で、浅草の射的屋で出会った美人看板娘との結婚を条件に引退を決意しました。

その後、役者を辞めたことを後悔し、酒に溺れる日々を送るようになります。1972年12月27日、彼は71歳でこの世を去りました。彼の波乱に満ちた生涯は、日本映画史に多大な影響を与え続けています。

まとめ

里見明は、サイレント映画時代を代表する俳優の一人として、不屈の精神で数々の困難を乗り越えてきました。同時に、興業の激動に翻弄されながらも映画産業の成長を支えた人物でもあります。彼の業績は、今なお多くの映画ファンから称えられています。

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