重井鹿治

重井鹿治の生涯と業績

重井鹿治（しげいしかじ）は、1902年に岡山県吉備郡日近村に生まれた。彼は農業を営む家庭に育ち、1919年に足守高等小学校を卒業後、北海道へ移住した。そこで彼は旭川新聞社や社会問題啓蒙団体に勤務しながら、地域の文芸活動に力を入れた。特に旭川文化協会の設立に関与したことは、彼の人間形成に多大な影響を与えた。彼の初めての家庭的な出来事として、1924年には妻しげ子との間に長男・博が誕生し、その後、しげ子の故郷で農民運動に関わるようになった。

その後、北海道に戻った重井は農民組合の結成に取り組み、全日本農民組合北海道連合会の書記長に就任した。これにより、彼の農民運動家としての地位が確立された。1928年には倉敷市に移り、菓子店を経営する一方、1930年には倉敷一般労働組合を設立し、労働争議において委員長を務めた。これらの活動を通じて彼は地域社会の労働環境改善に貢献し、その名声を高めていった。

さらに政治への関心も深まり、1936年には市政刷新同盟を組織し、倉敷市会議員に当選。庶民のために開設した実費診療所は彼の社会福祉への熱意を示す結果となった。しかし1937年には第20回衆議院議員総選挙に社会大衆党公認で出馬したものの、惜しくも落選した。同年12月には人民戦線事件に関連して逮捕され、投獄される運命を辿った。

1938年1月、彼は西村丹治郎の死去に伴う繰上補充で衆議院議員に選出されたものの、獄中にいたため、登院は果たせなかった。同年8月には辞職を余儀なくされ、1941年に出所した後も特高警察の監視を受けるなど、困難な政治活動を強いられた。1944年には思想犯としてボルネオ島に送られ、農作業に従事したが、その後、兵士として召集され、マラリアを患い連合軍の捕虜となった。

戦後、1946年に倉敷に戻った重井は、1947年の県知事選挙に日本社会党から立候補したが、さらに選挙の洗礼を受けることとなる。その後、同年4月の第23回総選挙では見事に岡山県第2区から当選を果たし、衆議院議員として2期にわたる活動を続けた。さらに1955年には重井病院を開設し、地域の医療にも寄与した。

重井鹿治の生涯は、波乱に富んだものであり、農民や労働者の権利を守るために尽力した点で特に評価されている。また、彼の妻・重井しげ子も社会運動家として知られ、家族全体が社会的貢献に関与したことは、彼の足跡に深い影響を与えている。重井鹿治の活動は、戦後の日本の政治に少なからず影響を与えたといえる。

脚注

- 彼の活動は様々な文献で紹介されており、その影響は岡山県内外に広がりました。

もう一度検索