重信町
重信町（しげのぶちょう）は、かつて愛媛県の東部、温泉郡に存在した町です。2003年時点でおよそ2万4千人の人口を擁し、面積は約100平方キロメートルでした。近隣の松山市の通勤圏として機能し、愛媛県内でも有数の人口増加地域として知られていました。2004年9月21日、同じ温泉郡の川内町と合併し、新たに東温市（とうおんし）が誕生したことにより、重信町は消滅しました。
重信町は松山市の東側に平地で接しており、町の市街地は事実上、松山市の市街地と連続していました。南北に細長い形状をしており、町の中心部は松山平野の南東部に位置しています。東側は重信川を挟んで温泉郡川内町と隣接していました。北東部と南部は山地が広がり、町名の由来ともなった重信川が北東部から中央部を流れています。主な山岳としては、東三方が岳（1233m）、明神が岳（1217m）、皿ヶ嶺（1271m）などがあり、河川には重信川のほか拝志川がありました。
重信町の歴史は、明治時代の町村制施行に遡ります。1889年（明治22年）12月15日、旧久米郡の北吉井村、旧下浮穴郡の南吉井村および拝志村がそれぞれ成立しました。1897年（明治30年）4月1日、郡の再編に伴い、これら3村はすべて温泉郡の所属となりました。そして1956年（昭和31年）9月1日、これら北吉井村、南吉井村、拝志村が合併して重信町が誕生しました。
町制施行後、インフラ整備が進められ、1959年（昭和34年）には上重信橋が、1965年（昭和40年）には拝志大橋が完成しました。1964年（昭和39年）には町役場が新築・移転し、町の行政拠点としての機能が強化されました。交通面では、1967年（昭和42年）10月に伊予鉄道横河原線が電化され、松山方面へのアクセスが向上しました。公共施設や重要機関の移転・開設も相次ぎ、1972年（昭和47年）10月には松山刑務所が町内に移転。1973年（昭和48年）11月には愛媛大学医学部が開学し、翌年には町内に移転。1976年（昭和51年）5月にはその附属病院が開院しました。町民生活に関わる施設や団体の整備も進み、1981年（昭和56年）には町民会館が落成し、町民憲章や町花・町木が制定されました。その後も、図書館・歴史民俗資料館（1985年）、重信町総合公園（1997年開設、2001年完成）、ツインドーム重信（1999年）などの施設が整備され、町の機能や魅力が高められていきました。2000年（平成12年）3月には新たな町庁舎が完成しています。
重信町には、髙須賀治利、束村旭、和田治樹といった町長がいました。町役場庁舎については、1964年建設の旧庁舎が手狭になったため、幹線道路沿いに新たな庁舎が建設され、2000年に移転しています。この新庁舎建設は、当時の市町村合併の流れの中では比較的珍しい動きであり、近い将来の合併を見据えたものではないかという見方も一部にありました。
平成の大合併においては、重信町にとって隣接する川内町との合併が自然な選択とされました。両町の人口を合わせると3万人を超えるため、合併特例法に基づいて「市」への昇格が可能になる点も、合併を後押しする要因となりました。人口規模は重信町が川内町の約2倍でしたが、両町による新設合併は比較的円滑に進められました。一方、西に隣接する松山市との合併については、松山市側が編入合併方式に固執したことや、過去の松山市への編入地域の経験から得られるメリットが少ないという意見が支配的であったため、ほとんど具体的に議論されることはありませんでした。松山市への通勤者が多い転入者の中には、松山市との合併を望む声もありましたが、大きな住民運動には至りませんでした。
町内には伊予鉄道横河原線が通り、牛渕団地前駅、牛渕駅、田窪駅、見奈良駅、愛大医学部南口駅、横河原駅が設置されていました。主要道路としては、国道11号や、県道23号伊予川内線、県道193号森松重信線などが通じていました。松山自動車道も町内を通過していましたが、重信町が存在した当時はインターチェンジは設置されていませんでした（後の東温市時代に東温スマートインターチェンジが設置されています）。
重信町には、国の天然記念物に指定されている北吉井のビャクシンをはじめ、皿ヶ嶺連峰県立自然公園、高畠華宵大正ロマン館、温泉施設の利楽を含むレスパスシティ、水の元キャンプ場、重信町総合公園、上林森林公園、風穴、白糸の滝といった自然や観光施設がありました。また、法寿院（新四国曼荼羅霊場45番）、香積寺（新四国曼荼羅霊場46番、隻手薬師）、浄土寺（四国三十六不動霊場18番）といった寺院も点在していました。
元愛媛県知事の伊賀貞雪氏などが重信町出身または関係者として知られています。
重信町の詳細な歴史や地理については、『重信町誌』などが参照されます。関連事項として、愛媛県の廃止市町村一覧などが挙げられます。
地理
重信町は松山市の東側に平地で接しており、町の市街地は事実上、松山市の市街地と連続していました。南北に細長い形状をしており、町の中心部は松山平野の南東部に位置しています。東側は重信川を挟んで温泉郡川内町と隣接していました。北東部と南部は山地が広がり、町名の由来ともなった重信川が北東部から中央部を流れています。主な山岳としては、東三方が岳（1233m）、明神が岳（1217m）、皿ヶ嶺（1271m）などがあり、河川には重信川のほか拝志川がありました。
歴史
重信町の歴史は、明治時代の町村制施行に遡ります。1889年（明治22年）12月15日、旧久米郡の北吉井村、旧下浮穴郡の南吉井村および拝志村がそれぞれ成立しました。1897年（明治30年）4月1日、郡の再編に伴い、これら3村はすべて温泉郡の所属となりました。そして1956年（昭和31年）9月1日、これら北吉井村、南吉井村、拝志村が合併して重信町が誕生しました。
町制施行後、インフラ整備が進められ、1959年（昭和34年）には上重信橋が、1965年（昭和40年）には拝志大橋が完成しました。1964年（昭和39年）には町役場が新築・移転し、町の行政拠点としての機能が強化されました。交通面では、1967年（昭和42年）10月に伊予鉄道横河原線が電化され、松山方面へのアクセスが向上しました。公共施設や重要機関の移転・開設も相次ぎ、1972年（昭和47年）10月には松山刑務所が町内に移転。1973年（昭和48年）11月には愛媛大学医学部が開学し、翌年には町内に移転。1976年（昭和51年）5月にはその附属病院が開院しました。町民生活に関わる施設や団体の整備も進み、1981年（昭和56年）には町民会館が落成し、町民憲章や町花・町木が制定されました。その後も、図書館・歴史民俗資料館（1985年）、重信町総合公園（1997年開設、2001年完成）、ツインドーム重信（1999年）などの施設が整備され、町の機能や魅力が高められていきました。2000年（平成12年）3月には新たな町庁舎が完成しています。
行政と合併
重信町には、髙須賀治利、束村旭、和田治樹といった町長がいました。町役場庁舎については、1964年建設の旧庁舎が手狭になったため、幹線道路沿いに新たな庁舎が建設され、2000年に移転しています。この新庁舎建設は、当時の市町村合併の流れの中では比較的珍しい動きであり、近い将来の合併を見据えたものではないかという見方も一部にありました。
平成の大合併においては、重信町にとって隣接する川内町との合併が自然な選択とされました。両町の人口を合わせると3万人を超えるため、合併特例法に基づいて「市」への昇格が可能になる点も、合併を後押しする要因となりました。人口規模は重信町が川内町の約2倍でしたが、両町による新設合併は比較的円滑に進められました。一方、西に隣接する松山市との合併については、松山市側が編入合併方式に固執したことや、過去の松山市への編入地域の経験から得られるメリットが少ないという意見が支配的であったため、ほとんど具体的に議論されることはありませんでした。松山市への通勤者が多い転入者の中には、松山市との合併を望む声もありましたが、大きな住民運動には至りませんでした。
交通
町内には伊予鉄道横河原線が通り、牛渕団地前駅、牛渕駅、田窪駅、見奈良駅、愛大医学部南口駅、横河原駅が設置されていました。主要道路としては、国道11号や、県道23号伊予川内線、県道193号森松重信線などが通じていました。松山自動車道も町内を通過していましたが、重信町が存在した当時はインターチェンジは設置されていませんでした（後の東温市時代に東温スマートインターチェンジが設置されています）。
名所・旧跡・観光スポット
重信町には、国の天然記念物に指定されている北吉井のビャクシンをはじめ、皿ヶ嶺連峰県立自然公園、高畠華宵大正ロマン館、温泉施設の利楽を含むレスパスシティ、水の元キャンプ場、重信町総合公園、上林森林公園、風穴、白糸の滝といった自然や観光施設がありました。また、法寿院（新四国曼荼羅霊場45番）、香積寺（新四国曼荼羅霊場46番、隻手薬師）、浄土寺（四国三十六不動霊場18番）といった寺院も点在していました。
出身者・関係者
元愛媛県知事の伊賀貞雪氏などが重信町出身または関係者として知られています。
参考文献・関連項目
重信町の詳細な歴史や地理については、『重信町誌』などが参照されます。関連事項として、愛媛県の廃止市町村一覧などが挙げられます。
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