重慶府

重慶府は、中国にかつて存在した行政区画であり、現在の重慶市一帯に位置していました。その歴史は宋代に始まり、民国初頭まで続きました。

宋代：恭州から重慶府へ

1102年（北宋の崇寧元年）、渝州が恭州と改称されました。その後、1189年（南宋の淳熙16年）に恭州が重慶府へと昇格しました。重慶府は夔州路に属し、巴県、江津県、璧山県の3県を管轄していました。また、羈縻州として溱州があり、溱州は栄懿県と扶歓県の2県を管轄していました。

元代：重慶路総管府

1279年（元代の至元16年）、重慶府は重慶路総管府と改められました。重慶路は四川等処行中書省に属し、録事司と巴県、江津県、南川県の3県、そして瀘州に属する江安県、納渓県、合江県の3県、忠州に属する臨江県、南賓県、豊都県の3県、合州に属する銅梁県、定遠県、石照県の3県、さらに涪州に属する武竜県、合計1司3県4州州領10県を管轄する広大な地域となりました。

明代：重慶府の再編

1371年（明の洪武4年）、重慶路は重慶府と再び改められました。重慶府は四川省に属し、直轄として巴県、江津県、璧山県、永川県、栄昌県、大足県、安居県、綦江県、南川県、長寿県、黔江県の11県、さらに合州に属する銅梁県、定遠県の2県、忠州に属する酆都県、墊江県の2県、そして涪州に属する武隆県、彭水県の2県、合計3州17県を管轄しました。

清代：行政区画の変化

清代に入ると、重慶府は引き続き四川省に属し、巴県、江津県、璧山県、永川県、栄昌県、大足県、綦江県、南川県、長寿県の10県、銅梁県、定遠県、合州、涪州の2州、江北庁の1庁を管轄しました。

中華民国：重慶府の廃止

1913年、中華民国により重慶府は廃止され、その歴史に幕を閉じました。

重慶府は、その長い歴史の中で、行政区画としての役割を終えましたが、重慶市という都市の発展の基盤を築いた重要な存在でした。各時代の行政区画の変遷は、この地域の歴史と文化を理解する上で欠かせない要素です。

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