野副重一

野副重一（のぞえ じゅういち）は、1865年（慶応元年）に肥前国高来郡諫早村（現在の長崎県諫早市）に生まれました。幼名は木下助内三男でしたが、1882年（明治15年）に野副弥惣左衛門の養子となり、野副姓を名乗るようになりました。

1892年（明治25年）には東京帝国大学法科大学英法科を卒業し、法律家としての道を歩み始めました。卒業後、野副は仙台市に弁護士事務所を開業し、地域社会の法的ニーズに応えました。その活動は弁護士業務にとどまらず、仙台市会議員、さらには同議長も務め、地方自治にも積極的に関与しました。

政治家としての野副のキャリアは、1920年（大正9年）の第14回衆議院議員総選挙での当選によって頂点を迎えます。立憲政友会に所属し、国政の場で活躍しました。弁護士としての経験と、地方政治での実績を背景に、国政においても重要な役割を担いました。

野副の人物像を語る上で見逃せないのが、蔵王町立宮小学校に残された弔辞です。この弔辞は、水難事故に遭った教え子を救おうとして殉職した小野さつき訓導に向けられたもので、教育者への深い敬意と哀悼の意が込められています。この弔辞は、野副の教育に対する関心の高さと、人間性を表すエピソードとして今日に伝えられています。

野副重一は、1927年（昭和2年）にその生涯を閉じましたが、弁護士として、政治家として、そして一人の人間として、多くの人々に影響を与えました。彼の足跡は、日本の近代史に深く刻まれており、後世に語り継がれるべき偉人の一人です。

参考文献

『衆議院要覧 下巻 大正九年六月』衆議院事務局、1920年。
人事興信所編『人事興信録 第7版』人事興信所、1925年。

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