高来郡

高来郡（たかきぐん）

高来郡は、かつて長崎県（旧肥前国）に存在した郡です。その歴史は古く、『肥前国風土記』に記された景行天皇の故事にその名残を留めています。天皇が雲仙岳を眺め、「あれは陸か島か」と問うた際、神大野宿禰が調べに行き、山の神「高来津座（たかくつくら）」に出会ったことが地名の由来とされています。

郡域

高来郡は、おおむね現在の下記の区域に相当します。

長崎市の一部：牧島町、戸石町、上戸石町、川内町、船石町、中里町、つつじが丘、古賀町、松原町、鶴の尾町、宿町、芒塚町、田手原町、早坂町、田上、茂木町、宮摺町、大崎町、千々町、藤田尾町、布巻町、椿が丘町、川原町、宮崎町、脇岬町より南東、かき道・三景台町の各一部
諫早市の大部分（多良見町各町を除く）
雲仙市
島原市
南島原市

ただし、これらの区域は行政区画として厳密に画定されたものではありません。

歴史

郡衙は現在の雲仙市内に置かれていたと推定されています。中世には伊佐早荘を領有した西郷氏の領国であり、江戸時代には龍造寺氏の分家筋である佐賀藩重臣諫早家が藩内私領として領有統治しました。この領地が郡の起源となっています。

近世以降の沿革

所属町村の変遷については、北高来郡および南高来郡の各項目をご参照ください。

「旧高旧領取調帳」によると、明治初年時点での支配は以下の通りでした（2町81村）。

後の北高来郡域（1町38村）：幕府領、肥前佐賀藩、肥前大村藩
後の南高来郡域（1町36村）：肥前島原藩、肥前佐賀藩
後の西彼杵郡域（7村）：幕府領（日見村、茂木村、川原村、樺島村）、肥前佐賀藩（脇御崎村、為石村、布巻村）

慶応4年

2月2日（1868年2月24日）：幕府領が長崎裁判所の管轄となる。
5月4日（1868年6月23日）：長崎裁判所の管轄地域が長崎府の管轄となる。

明治2年

6月20日（1869年7月28日）：長崎府の管轄地域が長崎県の管轄となる。

明治4年

7月14日（1871年8月29日）：廃藩置県により、藩領が佐賀県、大村県、島原県の管轄となる。
11月14日（1871年12月25日）：第1次府県統合により、全域が長崎県の管轄となる。

明治5年（1872年）

脇御崎村・為石村・布巻村が彼杵郡本村に合併。

明治11年（1878年）

10月28日：郡区町村編制法の長崎県での施行により、高来郡は北高来郡と南高来郡に分割され、それぞれ行政区画として発足。同時に、日見村・茂木村・川原村・樺島村は西彼杵郡の一部となりました。この日をもって、高来郡は消滅しました。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 42 長崎県、角川書店、1987年6月1日。ISBN 4040014200。
旧高旧領取調帳データベース

関連項目

消滅した郡の一覧

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