野原正勝

野原 正勝の政治家としての歩み

野原正勝（のはらまさかつ）は、1906年3月16日に埼玉県に生まれ、1983年2月10日に76歳でその生涯を閉じた日本の政治家である。彼は衆議院議員を10期にわたり務め、その中で特に労働大臣（第30代）としても名を馳せた。

学歴と初期のキャリア

野原は旧制宇都宮高等農林学校（現在の宇都宮大学）を卒業した後、青森営林局（林野庁）に入局した。彼の政治経歴は1947年に盛岡営林署に在籍しながら旧岩手1区から衆議院議員に出馬した際に始まる。この選挙で彼は見事初当選を果たし、以後通算で10回の当選を重ねた。自民党内では、三木武夫派に所属していた。

政治的キャリアの発展

1955年、野原は公職選挙法違反の判決を受けて議員を退職することになったが、その後も影響力ある地位を継続させた。第3次吉田茂内閣では農林政務次官として、また1970年から1971年にかけては第3次佐藤榮作内閣の労働大臣を務めた。1976年の第34回衆議院議員総選挙では落選し、その結果、政界からの引退を決断した。彼は政界引退の際、25年間の勤続を表彰された。

野原家の系譜

野原の家系において特筆すべきは、彼の娘婿である近藤鉄雄が経済企画庁長官や労働大臣を歴任したこと、さらに孫にあたる近藤洋介が米沢市長としての職を務めた点である。政治の血脈は受け継がれている。

専門性と業績

野原は党内で農林関連の役職が多く、農政に関する健全な方向性を示したことから「農政の野原」と呼ばれることもあった。

内地開拓と食料増産

戦後、日本は新しいスタートを切る必要があった。その中で野原は「耕すに可能な土地は寸尺といえども耕す」という信念を抱き、国有林の解放を提唱した。彼自身が営林署長の際に、和賀郡沢内村の千ヘクタールを開放し、5ヘクタール規模の農家約200戸を設立した。これは通常、国有林の管理者が手を加えてはいけない行動であり、周囲から反発もあったが、彼は祖国再建のために前進した。

農業災害補償の抜本改正

農業災害補償の制度に熟知していた野原は、制度改正の根本を形成し、農林基盤整備事業の予算化にも尽力した。彼の取り組みは、農業従事者の安定を図るものであり、農業者にとって非常に重要な意味を持った。

米生産過剰対策

さらに、彼は米の生産過剰問題にも注目し、米偏重の施策から脱却し、各作目のバランスを考慮した農業振興を推進した。この考えには国際的な視点も含まれていたが、後の石油ショックによりその戦略的基盤は揺らいだ。

岩手大学農学部創設

野原の功績において特筆すべきは、岩手大学農学部の創設に関与したことだ。1947年、盛岡農専が他校に吸収される危険に直面したが、卒業生たちが野原に協力を求め、彼はGHQに対して陳情活動を行うことで新設にこぎ着けた。

主な経歴

• - 1939年7月: 青森・脇野沢営林署長
• - 1946年4月: 川尻営林署長、盛岡営林署長
• - 1947年4月: 衆議院議員初当選
• - 1951年12月: 農林政務次官（〜1952年6月）
• - 労働大臣（1970年1月〜1971年7月）など多数の役職を歴任。

最期

野原は1983年に心不全により盛岡市の病院で亡くなった。彼の長い人生は日本の農業政策と政治に多大な影響を与え続けた。

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