野口猛 (作詞家)

野口 猛の生涯と業績

野口 猛（のぐち たけし、1906年4月22日 - 1972年5月3日）は、日本の著名な作詞家、歌人、そして初等・中等教育の教員として知られています。長崎県佐世保市に生まれた彼は、少年期に家族と共に大阪に移住しました。玉出第二尋常小学校を卒業後、独学で教員免許を取得し、教育の道を歩んでいきました。

教員としてのキャリア

兵庫県の教員採用試験を通過した後、長尾尋常小学校で代用教員としての職務を開始しました。その後も宝塚国民学校や三田国民学校といった学校で教員を勤め、子どもたちに教育を提供しました。彼は幼少期から詩や絵画に関心を持ち、特に短歌を愛していました。この情熱が彼の後の作詞活動に影響を与えました。

1942年に、神戸新聞社の支援を受けた相生市の市歌募集で、三等一席に入賞するなど、彼の作詞活動は早くから評価されていました。

兵庫県民歌の誕生

1947年には、有馬郡生瀬国民学校の教員として務めていた際に、兵庫県が制定した「兵庫県民歌」募集で入選。これが彼の代表作となります。また、1954年には新設された尼崎市立七松小学校の校長に就任し、校歌を作詞しました。この頃から彼の名声はさらに高まり、川西市歌なども手掛けていました。

教育界からの引退

1964年には定年退職後、園田学園の英語教諭として活躍し、その後も多くの小学校の校歌を手掛けるなど教育者としての立場を大切にしていました。彼の作詞による校歌は、教育現場における子どもたちに愛される存在となっていきました。

逝去と遺族の訴え

1972年に急性骨髄性白血病により逝去しました。享年66歳という若さでの死でしたが、彼の残した作品は現在でも多くの人々に親しまれています。しかし、代表作である「兵庫県民歌」は、制定主体である県から存在を否定されているという苦しい状況にあります。そのため、彼の遺族は名誉回復を求める活動をしています。

彼の作品の広がり

彼の作品は自治体の歌として広がり、特に兵庫県民歌や川西市歌などは多くの人に知られています。さらに尼崎市内の多くの小学校の校歌も彼が手掛けたもので、地域の教育における重要な要素となっています。

記念イベント

2017年、代表作の制定70周年を記念したイベントが伊丹市立図書館で開催され、野口の業績が再評価されました。このように、彼の音楽は地域社会と密接に結びついており、今なお多くの人々に影響を与え続けています。彼の生涯は教育と音楽の両面で多大な貢献を果たしたものです。

もう一度検索