野地久保古墳

野地久保古墳の詳細

概要

野地久保古墳（のじくぼこふん）は、福島県白河市本沼に所在する古墳であり、国の史跡に指定されています。その形状は上円下方墳で、古墳時代の終わりにあたる7世紀後半から8世紀初頭にかけて築造されたと考えられています。この古墳は、福島県南部の阿武隈川左岸の丘陵地帯に位置し、周辺は静かな自然環境に囲まれています。

位置と形状

野地久保古墳は、谷地久保古墳と同じ谷の南東において、約400メートルの距離にあります。墳丘は2段で築かれ、下段は方形、上段は円形となっており、下段の一辺は約16メートル、上段の直径は約10メートルです。この墳丘の斜面は川原石で積まれ、平坦な部分には円礫を使った貼石が施されています。その周囲には掘割状の外周溝が確認されています。

埋葬施設

古墳内部には横口式石槨が設けられており、1枚の床石が元の位置で保存されていますが、他にも4つの石が周辺に見られます。石槨の前庭部分は南に開いており、壁面は川原石を小口積みにし、床には小円礫が敷かれています。ただし盗掘の影響で、副葬品の詳細は不明です。

文化的意義

野地久保古墳は、全国でも珍しい上円下方墳の一つとして注目されており、その形式は畿内に見られる横口式石槨を含む特異な構造を持っています。被葬者は古代白河郡の有力な人物であったと推測され、周囲には下総塚古墳や舟田中道遺跡があるため、当時の地域の政治的・文化的な中心とされていました。福島県内でも歴史的に重要な古墳として位置づけられており、周囲には関和久官衙遺跡や借宿廃寺跡など、古代の官衙跡として知られる遺跡群が広がっています。

発掘調査の歴史

この古墳に関する発掘調査は2008年に行われており、その結果は白河市教育委員会によって2010年に報告書としてまとめられました。さらに同年の8月には、国の史跡として正式に認定されています。これにより、古墳の保存・活用が進められ、今後の調査研究の基盤が整いました。

まとめ

野地久保古墳は、その独特の形状や構造、周辺遺跡との関係性から古代白河郡の歴史を理解する上で重要な要素を提供しています。観光や研究においても欠かせない存在であり、訪れる価値がある史跡です。

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