野埼 (給糧艦)

野埼（のさき）について

概要

野埼は、日本海軍に属する特務艦で、元々は雑役船南海として建造されました。後に給糧艦に類別され、その名は大分県佐伯湾の野埼鼻に由来するとされます。この艦は、冷凍品や生鮮食品の補給を目的として設計され、昭和14年度（1939年）に建造が進められました。

計画と建造

冷凍品や生鮮食品を迅速に供給するため、海軍は小型船と中型船の冷凍運搬艦をそれぞれ1隻建造することを決定しました。小型船はトロール船の経験が豊富な三菱重工業下関造船所にて建造され、「冷凍船」として分類されました。この艦は、効率的な冷凍庫を備え、食材を長期間保存できる能力を持っていました。

艦型

艦のデザインは3島型であり、冷凍庫は肉や魚、野菜を含めた合計235立方メートルの容量を誇ります。この冷凍庫は、3,000人分の食料を約2ヶ月間保存できることができました。更に、生糧品の揚収のために前方に1トンと3トンのデリックが2本設置されています。後部には小規模な雑品倉庫があり、後部マストにもデリックが装備されています。兵装については、艦首に8cmの単装高角砲1門と、7.7mm機銃2挺を持ち、一般的な民間の冷凍船とは異なる強化点も見受けられます。

運用

1941年3月に完成した野埼は、当初は冷凍運搬船としての運用を計画されていました。しかし、艦隊への食料供給に従事したことで、艦種変更が行われ、野埼と名付けられました。この艦は、高雄から香港、海南島方面への物資補給を行い、1944年後半には護衛艦として活動を開始しましたが、1944年12月28日に米潜水艦デイスの攻撃を受けて沈没しました。

艦歴

• - 1939年10月18日：三菱彦島造船所で起工。
• - 1940年7月1日：公称第4007号として冷凍船に指定、佐世保海軍軍需部に所属。
• - 1940年7月22日：進水。
• - 1940年10月25日：船名を南海から変更。
• - 1941年3月18日：竣工し、太平洋戦争に突入。
• - 1942年4月1日：特務艦に編入され、野埼と命名。
• - 1944年12月28日：仏印バレラ岬沖で沈没、松型駆逐艦の護衛艦から救助される。
• - 1945年3月10日：除籍。

特務艦長

• - 坂野正己（予備大尉）：1942年4月1日 - 1942年11月20日
• - 石井留吉（予備大尉/大尉）：1942年11月20日 - 1943年7月20日
• - 磯村留男（大尉）：1943年7月20日 - 1944年12月28日、戦死。

このように、野埼は日本海軍の国内外での糧食供給を支える重要な艦でありましたが、戦争の激化と共に運命を迎えました。

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