野宮神社

野宮神社

野宮神社は、京都市右京区嵯峨野に位置する神社です。かつて伊勢神宮に仕えた斎王が、その出発前に身を清めた「野宮」が起源とされています。現在は神社本教の被包括法人となっています。

概要

野宮神社は、天皇の代理として伊勢神宮に仕える斎王が、伊勢へ赴く前に潔斎を行う場所でした。黒木鳥居と小柴垣に囲まれた清浄な場所が選ばれ、その様子は源氏物語「賢木の巻」にも描かれています。学問成就、恋愛成就、子宝安産などのご利益があるとされ、地域住民だけでなく、観光客にも広く親しまれています。

祭神

本殿には、野宮大神（天照皇大神）が祀られています。

歴史

野宮神社の起源は、豊鍬入姫命に始まる斎王が伊勢神宮へ奉仕する前に潔斎を行った「野宮」に由来すると伝えられています。天皇の代替わりごとに、未婚の皇女や女王の中から斎王が選ばれ、宮中の初斎院で1年間、そして嵯峨野に設けられた野宮で1年間潔斎した後、斎宮寮（現在の三重県多気郡明和町）へ向かい、伊勢神宮での神事に臨みました。

斎王の制度は南北朝時代に後醍醐天皇の代で廃絶されましたが、その後も天照大神を祀る神社として存続しました。しかし、度重なる戦乱の中で衰退し、後奈良天皇や中御門天皇らの綸旨により再興され、現在に至るまで皇室からの厚い崇敬を受けています。

境内

源氏物語「賢木」の巻の舞台であり、謡曲「野宮」の題材にもなっています。境内には、黒木の鳥居（くろきのとりい）があります。これは樹皮がついたままのクヌギの原木を使用したもので、日本最古の鳥居形式を伝えていると言われています。また、クロモジで作られた小柴垣（こしばがき）も、往古の潔斎空間の風情を今に伝えています。

苔を用いた美しい庭園「野宮じゅうたん苔」や、モミジ、ツバキ、石楠花などが境内を彩り、四季折々の風景を楽しむことができます。縁結びの神として知られる野宮大黒天や、願いを込めて撫でると叶うと言われる「お亀石」も人気を集めています。また、境内付近に群生する真竹は「野宮竹」と呼ばれ、古くは大嘗祭などにも使用されました。

摂末社

境内には、愛宕大神、白峰弁財天、野宮大黒天、龍神、白福稲荷大明神、大山弁財天などの摂末社があります。

祭礼

歳旦祭（1月1日）
節分祭（2月3日）
嵯峨祭（5月第3・4日曜）
夏越大祓（6月30日）
斎宮行列（10月第3日曜）
新嘗祭（11月23日）
除夜祭（12月31日）

現地情報

所在地：京都府京都市右京区嵯峨野々宮町1
交通アクセス：
京福電気鉄道嵐山本線 嵐山駅下車後、徒歩約10分
* JR嵯峨野線 嵯峨嵐山駅下車後、徒歩約10分

野宮神社は、その歴史的背景と美しい自然、そして様々なご利益を求めて訪れる人々で賑わう、魅力的な神社です。

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