野平一郎

野平 一郎（のだいら いちろう）

野平一郎は、1953年5月5日に東京で生まれた日本の作曲家およびピアニストです。彼は音楽の道を志し、東京芸術大学附属音楽高等学校を修了した後、東京芸術大学音楽学部作曲科を卒業しました。さらに、同大学院を修了し、海外へ渡った彼の音楽キャリアは本格的に展開されることとなります。

略歴

フランスに渡った野平は、アンサンブル・イティネレールのピアニストとしての活動を開始し、その後パリ国立高等音楽院を卒業しました。彼の師匠である間宮芳生や永冨正之、また多くの著名な音楽家から音楽を学び、成長しました。日本に戻ると、東京芸術大学の音楽学部で教授を務め（2021年3月には定年退職）、名誉教授としての地位を得ました。2023年4月からは東京音楽大学の学長に就任し、教育に尽力しています。さらに、静岡音楽館AOIの音楽監督や東京文化会館音楽監督、日本フォーレ協会の会長、日本ベートーヴェンクライスの代表、オーケストラ・ニッポニカミュージックのアドバイザーとしても活動しており、作曲家および演奏家として多方面で精力的に活動を続けています。

彼の作品は、アンリ・ルモワンヌ社などから出版されています。私生活では、作曲家で音楽評論家の野平多美と結婚しています。

受賞歴

野平一郎は数々の音楽賞を受賞しており、その中には1995年の中島健蔵音楽賞や、1996年の尾高賞、芸術選奨新人賞、京都音楽賞実践部門賞があります。また、2004年にはサントリー音楽賞、2005年には芸術選奨文部大臣賞を受け、2010年には静岡県文化奨励賞を受賞しています。さらに、2012年には紫綬褒章、2019年には日本芸術院賞も受賞し、彼の音楽的成果は多くの評価を受けています。

主な作品

彼の音楽作品は多岐にわたり、1982年に発表した『錯乱のテクスチュア I』や、1991年の『挑戦への14の逸脱』などが挙げられます。1995年には『室内協奏曲第1番』を発表し、続いて2002年に『炎の弦』、2004年には『冬の四重奏曲』、2005年にはオペラ『マドルガーダ』を発表しました。これらの作品は、彼の作曲家としての独創性や技術的な特性を示しています。

著書・翻訳

野平は音楽の実践についての考察を著した書籍も持っており、2015年には『作曲家から見たピアノ進化論』を音楽之友社から出版しました。また、翻訳者としても活動しており、ピエール・ブーレーズの『参照点』をはじめ、オリヴィエ・メシアンの作品の分析書をまとめています。

彼の音楽家としての歩みは、日本の音楽界において重要な役割を果たしており、今後もその活動から目が離せません。

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