野木丈司

野木丈司 - プロボクサーからトレーナーへの軌跡

野木丈司（のぎ じょうじ、1960年4月30日生まれ）は、千葉県で生まれた元プロボクサーであり、現役を引退後はトレーナーとして数々の選手を指導してきました。彼の人生は、彼自身のボクシングの夢と、陸上競技における成功が交錯する独特のものでした。

来歴の始まり

彼は大場政夫に憧れを抱き、プロボクサーを目指しましたが、千葉県船橋市立高根中学校ではその持ち前の足の速さから陸上部での活動が目立ちました。千葉県立佐倉高等学校では陸上部監督である小出義雄からのスカウトを受け、彼の指導のもとで5000メートル競技で県大会の優勝を果たし、県高校駅伝では区間新記録を樹立して初優勝に貢献しました。この経験が彼の運動能力の基盤を築いたのです。

卒業後、早稲田大学競走部監督の中村清から誘いを受けましたが、ボクシングの夢を諦めることができず、小出の紹介でミカドジムに入門しプロボクサーとなりました。彼はプロとしての最初の試合で3戦3勝（1KO）を達成しましたが、ジムの合併によるトラブルにより、10年間も試合に出場する機会を得られない苦しい時期を過ごしました。これが彼のボクシングキャリアに暗い影を落としましたが、1991年に引退することとなります。

トレーナーとしての転身

1998年にトレーナーとしての道を歩き始め、2001年にはキューバに移り、その独特の育成法を直接学ぶ貴重な経験をしました。この期間中に得た知識は、彼の著書『まったく新しいボクシングの教科書』にまとめられ、大変な好評を博しました。彼はトレーナーとしてのキャリアを通じて、嘉陽宗嗣や河合丈矢、女子選手八島有美など多くの選手を指導し、さらには格闘家の宇野薫やHAYATO、浜崎朱加も育てるなど、その指導力は広く認められました。

また、内藤大助のトレーニングパートナーとして彼の世界王座獲得をサポートし、2008年からは風神ライカの指導にも携わっています。さらに、元女子チャンピオンの菊地奈々子や山口直子のトレーナーとしても知られています。

最近の動向

2017年には比嘉大吾のパートナーとしてWBC世界フライ級王座に導くなど、トレーナーとしての実績を重ねましたが、2018年に比嘉が体重超過で王座を剥奪されたことで、責任を感じた彼は白井・具志堅スポーツジムを離れる決断を下しました。 2019年8月には、教え子の角田紀子と結婚し、私生活でも新たなスタートを切ったことは大きな話題となりました。2020年には比嘉とともにAmbition GYM（後の志成ボクシングジム）に加入し、現在もトレーナーとして活動を続けています。

著書とメディア

彼の著書『まったく新しいボクシングの教科書』は、パンチ力を倍増させる方法を解説しており、新しいアプローチが注目されています。また、関連書籍やインタビューも多く存在します。これらの活動を通じて、彼は日本のボクシング界に対して多大な影響を与えているのです。

野木丈司のキャリアは、数々の困難を乗り越え、選手からトレーナーへと変身した物語であり、ボクシング界を愛する多くの人々へのインスピレーションとなっています。

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