野村瓜州

野村 瓜州 (のむら かしゅう) の生涯と業績

野村 瓜州（1736年 - 1811年）は、江戸時代後期に活動した日本の漢詩人、文人、そして教育者です。彼の本名は維民で、字は子則、また通称として六郎右衛門、雅号は瓜州として親しまれました。彼の生涯は、当時の文人文化と深く結びついており、その影響は現在でも多くの人々に知られています。

瓜州の略歴

瓜州は神戸、つまり現在の東京都府中市宮西町にあたる地域で生まれました。彼の家系は旅籠「四人部屋」を営んでおり、父からこの旅籠を引き継いでいました。彼はその傍らで、著名な漢学者である野村延陵や国学者の服部仲英の指導を受け、特に漢詩の学問に力を入れていました。また、彼の作品である『坦坦草』は一巻から成るとされ、彼の詩の実力を物語っています。

瓜州は、江戸の文人や趣味人たちと広く交流し、その名は当時の文化人たちに広く知られていました。その中でも、平秩東作や菊池五山、春登上人といった他の著名な文人たちとの繋がりが特に深く、日本の文人文化において重要な役割を果たしました。

晩年には「松羅園」という名の塾を設立し、子弟の教育にも力を注いでいました。彼は1811年10月28日に病に倒れ、その生涯を終えました。法名は観山喜法で、東京都府中市の高安寺にその墓が構えられています。この墓は1959年12月11日に歴史的なものであるとして市の史跡にも指定されています。墓碑には大田南畝によって撰文された銘が刻まれており、その中には瓜州の略伝が詳細に記されています。

彼には実子がいなかったものの、養子を迎え入れ、三人の孫（2男1女）に恵まれたことも彼の人生の一部となっています。

瓜州とその文書

江戸時代における瓜州や「四人部屋」に関する資料はいくつか存在します。例えば、菊池五山の『五山堂詩話』の巻10には瓜州に関連する「本田昂斎」の記述があり、また大田南畝の『三餐余興』においても「遊玉川記」として彼に言及されております。春登上人の『花水吟草』や村尾正靖の『嘉陵紀行』にも彼の名が見られ、彼が当時の文人たちとの繋がりを有していたことが伺えます。

1809年に彼の旅籠「四人部屋」を訪れた俳人の富岡有佐は、彼に因んだ俳句を残しており、その詩は彼の文化的影響を示すものです。句の中で「花にきて円寝もよしや四人部屋」という表現は、瓜州の住まいが持つ魅力やその時代の文化のゆったりとした雰囲気を反映しています。

瓜州の雅号の由来

彼の雅号「瓜州」は、府中にあった幕府の御前栽瓜畑に由来しているとされています。この話は、いくつかの文献に記録されており、彼の名がどのようにして知られるようになったかを知る手掛かりとなります。

著作『坦坦草』の概要

瓜州の著作の一つである『坦坦草』については、まだその全容が不明な部分も多いです。現存する篆刻家本田定弘の所蔵しているものには、「二十六丁、表裏それぞれ九行の罫のある和紙に113編の詩と和歌一首が書かれている」とされていますが、これが彼の全作品であるかは確かでなく、さらなる研究が望まれるところです。

参考文献

瓜州の生涯や業績についての詳しい情報は、彼に関する数多くの著作や資料が残されています。これにより、彼の文学的な影響や教育者としての側面をより深く理解することができるでしょう。

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