野瀬正儀

野瀬正儀は、1911年（明治44年）に兵庫県で生まれ、2002年（平成14年）に生涯を閉じた土木工学者、実業家です。東京帝国大学工学部土木工学科を卒業後、富士電力、日本発送電を経て関西電力に入社しました。

関西電力では、水力計画課長、建設部次長を歴任し、その後、電源開発に出向しました。電源開発では、佐久間ダムや御母衣ダムといった大規模ダムの建設に携わり、その建設を主導しました。

1959年（昭和34年）には関西電力に戻り、黒四建設事務所長として、黒部ダムの建設を指揮し、完成に導きました。黒部ダムの建設は、当時としては非常に困難なプロジェクトでしたが、野瀬の卓越した技術力とリーダーシップによって成功を収めました。

その後、関西電力の取締役、常務取締役を経て、1975年（昭和50年）には電源開発副総裁に就任しました。電源開発副総裁を退任後も、日本大ダム会議会長、国際大ダム会議副総裁、土木学会会長など、数々の要職を歴任し、土木工学の発展に尽力しました。

その功績は、1962年（昭和37年）に黒部川第四発電所建設事務所の代表として朝日賞を受賞したことや、1986年（昭和61年）に土木学会功績賞を受賞したことからも明らかです。また、1973年（昭和48年）には藍綬褒章を受章しています。

野瀬正儀は、日本のインフラ整備に大きく貢献した人物であり、その功績は後世に語り継がれるでしょう。彼の業績は、土木工学の発展に貢献しただけでなく、日本の高度経済成長を支えた重要な要素の一つです。特に、大規模ダム建設における彼のリーダーシップと技術力は、今日の土木技術の基盤となっています。

参考文献
* 上田正昭ほか 監修『講談社日本人名大辞典』講談社、2001年。ISBN 4062108496。

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