野瀬清喜

野瀬清喜

野瀬清喜（のせ せいき、1952年8月10日 - ）は、日本の著名な柔道家であり指導者。講道館8段。

概要

選手としては、ロサンゼルス五輪や世界選手権でメダルを獲得。国内では全日本選抜体重別選手権5連覇という輝かしい実績を持つ。身長176cm、現役時代の階級は86kg級。

引退後は、埼玉大学で教鞭を執る傍ら、全日本女子のヘッドコーチや強化部長を歴任し、数多くのメダリストを育て上げた名指導者としても知られる。

経歴

新潟県北蒲原郡京ヶ瀬村（現・阿賀野市）出身。小学校時代は野球に親しみ、京ヶ瀬中学校で柔道と出会う。新発田高校に進学し柔道部に入部するも、1年生が終わる頃には同級生が誰もいなくなるという状況に。それでも黙々とウェイトトレーニングに励み才能を開花させ、高校時代にはインターハイや国体に出場した。

1971年、東海大学に進学するも、大学での柔道レベルの高さに衝撃を受け、3ヶ月で退学。その後、深夜警備員として働く中で柔道への情熱を再認識し、講道館で再び柔道の練習に打ち込む。

東京教育大学（現筑波大学）教員の中村良三との出会いが転機となり、同大学に合格。大学時代には、全日本学生体重別選手権で優勝するなど、数々のタイトルを獲得した。

1976年に筑波大学大学院へ進学。大学院修了後は、筑波大学に助手として残り、1978年の全日本選抜体重別選手権で3位に入賞。安定した成績を収め、当時の86kg以下級を代表する選手として活躍し、フランス国際大会では準優勝を果たした。

1979年のカナダ国際大会で国際大会初優勝。1980年には、全日本選抜体重別選手権で初優勝し、同年のハンガリー国際大会も制した。

日の丸を背負い、表彰台で君が代を聞くことを目標としていた野瀬は、ハンガリーからの帰国後、当時の全日本監督であった佐藤宣践から世界選手権や五輪での優勝を促され、現役続行を決意。

1981年、全日本選抜体重別選手権で連覇を達成。同年、マーストリヒトで開催された世界選手権では銀メダルを獲得。

1982年に埼玉大学教育学部の講師となり、後進の指導にあたる傍ら、現役を続け、全日本選抜体重別選手権で1984年まで5連覇を達成。全日本選手権にも6度出場し、ベスト8入りを果たした。

国際舞台では、1983年の世界選手権で銅メダルを獲得。1984年のロサンゼルス五輪では銅メダルを獲得。

引退後は、埼玉大学で指導に専念。女子柔道の指導においては、選手の自主性を尊重し、笑顔の絶えない雰囲気作りを心掛けた。その結果、鈴木若葉や溝口紀子といった世界レベルの選手を育成し、埼玉大学柔道部を全国有数の強豪校に育て上げた。

1992年から1996年まで全日本女子のヘッドコーチを務め、アトランタ五輪を指揮。田村亮子などの活躍を支え、女子柔道界の黄金時代を築き上げた。

2006年からは全日本柔道連盟の女子強化部長を務め、安定して勝てるチーム作りのための基盤を整備。埼玉大学では、息子である野瀬英豪を全日本選抜体重別選手権や講道館杯の上位入賞者に育て上げた。また、アテネパラリンピック銀メダリストの加藤裕司の指導にもあたり、部員たちの福祉への意識を高めた。

2019年より全日本柔道連盟の副会長を務めている。

指導者として

野瀬は、選手それぞれの個性や特性を尊重し、自主性を育む指導を心掛けている。また、技術指導だけでなく、精神面のサポートも重視し、選手が安心して練習に取り組める環境づくりに尽力している。

主な戦績

1974年 - 全日本学生選手権 優勝
1975年 - 全日本学生選手権 優勝
1980年 - 全日本選抜体重別選手権 優勝
1981年 - 全日本選抜体重別選手権 優勝
1981年 - 世界選手権 2位
1983年 - 世界選手権 3位
1984年 - 全日本選抜体重別選手権 優勝
1984年 - ロサンゼルス五輪 3位

論文

「国際柔道連盟による戦略的改革」（野瀬英豪・野瀬清喜・三戸範之）, 国際経営・文化研究 Cross-cultural business and cultural studies 16(2), 45-56, 2012
他多数

受賞

文部省スポーツ功労賞 (1984, 1992, 1996, 2005)
埼玉文化賞 (1996)

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