野田又夫

野田又夫の概要

野田 又夫（のだ またお、1910年12月10日 - 2004年4月22日）は、日本の著名な哲学者であり、特にデカルト研究で知られています。京都大学や甲南女子大学で教授を務め、その後も哲学界に大きな影響を与えました。

経歴

野田は1910年に大阪府に生まれました。彼は旧制大阪府立高津中学校で学び、同校の同級生には後に名を馳せる哲学者の森三樹三郎がいました。1927年に同中学校を卒業した後、旧制大阪高等学校に進学し、さらに京都帝国大学文学部哲学科に進むこととなります。大学在学中、彼は保田與重郎をはじめとする同窓生たちと共に雑誌を発行し、この雑誌を通じて西田幾多郎と交流を深めました。

1920年代と30年代は京都学派が栄えた時期であり、野田もその一員として活動していました。哲学者としての彼の位置づけは、主に西洋哲学に重きを置いたものです。1933年に旧制大阪高等学校の教授に就任し、1947年には母校である京都帝国大学に助教授として迎え入れられ、1958年には教授に昇格しました。1974年には定年退官し、その後甲南女子大学で教授として教え続けました。

野田は2004年4月22日に肺炎のため、京都市内の自宅で亡くなりました。

受賞歴

彼の偉大な業績は評価され、1975年には紫綬褒章を受章、1981年には叙勲二等及び授瑞宝章を受けました。

研究内容・業績

彼の専門分野は西洋哲学で、特にデカルトについての研究が高く評価されています。野田はラッセル協会の設立にも関わり、国際的な哲学史の編集など多岐にわたる活動を行っていました。また、アメリカの権威ある哲学雑誌『モニスト』の編集委員としても長い間貢献しました。

京都学派の中では、西田幾多郎や田辺元、九鬼周造などから影響を受けつつも、客観性と実証性を重視した研究を行っていました。特に、岩波新書の『パスカル』や『デカルト』は、多くの版が重ねられるなど、彼の業績は広く認知されています。西田思想を引き継ぎながらも新たな哲学的流れを生み出し、戦後の哲学界において重要な役割を果たしました。

野田の研究姿勢は、東洋思想を基盤とする京都学派とは異なり、西洋の近世から近代にかけての哲学を厳密に再考するものとなっています。これにより、多くの哲学研究者を育成しました。

著作

彼の著作には、以下のようなものがあります：

• - 『野田又夫著作集』全5巻（1981-82年、白水社）
• - 『習慣論』フェリックス・ラヴェッソン著，岩波文庫（1938年）
• - 翻訳した『デカルト選集 第1巻 精神指導の規則』（1939年、創元社）など。

彼の業績は今なお多くの人々に影響を与え続け、哲学分野における重要な資産となっています。

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