野田川 (京都府)

野田川（のだがわ）

京都府与謝郡与謝野町を流れるこの川は、二級水系の本流として知られており、別名は倉梯川（くらはしがわ）です。全長は15.5キロメートル、流域面積は99.2平方キロメートルです。野田川は豊かな自然環境を有し、特に流域の約90%は山林で構成されています。

地理的特徴

2007年には、野田川流域を囲む山々が丹後天橋立大江山国定公園に指定され、観光やレクリエーションの場としても注目されています。川の発源は与謝野町加悦地域の南部に位置する赤石ケ岳近くで、これ以降、北流しながら与謝野町内の加悦、野田川、岩滝地域を通り、さらには宮津市にも接しています。最終的には与謝野町岩滝地域で阿蘇海（宮津湾）に至ります。

流域には沖積平野である加悦谷が見られ、夏の間には多くの観光客が訪れ、自然を楽しむ姿が見受けられます。また、日本三景に名を馳せる天橋立は、この野田川が運んだ砂によって生まれたとされています。

環境問題

阿蘇海は閉鎖性水域であり、底質にダイオキシン類が高濃度で含まれていることが京都府から報告されています。このため、阿蘇海の環境改善を目指してシーブルー計画が進められています。

流域の自治体

野田川の流域には、与謝郡与謝野町と宮津市があります。特に与謝野町の成り立ちには興味深い歴史があります。2006年3月1日、野田川町、岩滝町、加悦町の3町が合併して与謝野町が誕生しました。この際、地名としての「野田川」は消滅しましたが、川の名は今でも使われています。

支流について

野田川にはいくつかの支流があり、代表的なものには滝川、加悦奥川、桜内川、岩屋川、温江川、水戸谷川、香河川があります。これらの支流も自然環境の保全や地域の生態系に寄与しています。

経済活動

歴史的に見ると、江戸時代から野田川は河川舟運に利用され、特に天明年間には安定した米や炭の輸送手段として重宝されました。明治30年代までこの航路が利用され、宮津市に向かって多くの物資が運ばれました。

また、野田川の河口近くにはニッケルの製錬工場がある日本冶金工業大江山製造所が立地しています。1926年には川に沿って加悦鉄道が開通し、ニッケル鉱石を輸送する重要な役割を果たしましたが、1980年代には貨物輸送が廃止されてしまいました。

サケの遡上

近年、河川改修の影響で、2008年頃から野田川に遡上するシロザケが観察されるようになりました。特に旧加悦町後野地区の上流部では産卵も確認されています。2021年には2匹のサケが遡上したとの情報もあり、野田川はサケの遡上が確認される南限の河川となる可能性があります。この現象に触発されて、与謝野町立与謝小学校では京都府立海洋高等学校の教員を招いたサケについての授業も実施されています。

このように、野田川は自然環境の宝庫であるとともに、地域の歴史や文化とも深く結びついている重要な水系です。

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