野間左衛

野間左衛：講談社を支えた「創業の母」の生涯

野間左衛（のま さえ）は、明治16年（1883年）9月16日に徳島県で生まれ、昭和30年（1955年）8月1日に71歳で亡くなった、講談社第3代社長です。旧姓は服部。

教員から講談社の「創業の母」へ

徳島師範学校（現在の徳島大学）を卒業後、地元の小学校で教員として教鞭を執っていました。明治40年（1907年）に野間清治と結婚し上京。夫である清治の事業を支えることとなります。

明治42年（1909年）には長男・恒を出産。同年11月、夫の清治が講談社の前身である大日本雄弁会を創立するにあたり、献身的に支え「創業の母」と呼ばれるようになりました。明治43年（1910年）には次男・康清を授かりますが、翌年に亡くしています。

予期せぬ社長就任

昭和13年（1938年）2月、長男の恒が町尻量基の長女・登喜子と結婚しますが、同年10月16日に夫の清治が、そしてそのわずか3週間後の11月7日には恒が急逝するという不幸に見舞われます。これにより、左衛は予期せぬ形で講談社の第3代社長に就任することになりました。

文化事業への貢献

社長就任後、左衛は夫の遺志を継ぎ、文化事業に尽力します。昭和14年（1939年）10月13日には、清治の遺志に基づき財団法人野間奉公会（現在の野間文化財団）を設立。昭和16年（1941年）には、文学界の発展を目的とした野間文芸賞及び野間文芸奨励賞を創設しました。これらの賞は、現在も日本の文学界において重要な賞として知られています。

社長退任後

昭和20年（1945年）11月、登喜子と結婚し野間家の養子となった省一に社長職を譲り、第一線を退きます。昭和30年（1955年）8月1日に71歳でその生涯を閉じました。墓所は護国寺の野間家墓地にあります。

参考文献

『講談社 日本人名大辞典』 講談社、2001年12月、ISBN 4-06-210849-6

関連文献

『しのぶ草―野間左衛追悼録』 野間左衛追悼録編纂会、1957年
魚住昭 『出版と権力　講談社と野間家の一一〇年』 講談社、2021年

外部リンク

デジタル版 日本人名大辞典+Plus『野間左衛』 - コトバンク

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