金メダルへのターン!

金メダルへのターン！：ミュンヘンへの熱い挑戦

1970年7月から1971年9月にかけて、フジテレビ系列で放送されたテレビドラマ『金メダルへのターン！』は、全65話にわたる青春スポーツドラマです。東宝とフジテレビの共同制作によるこの作品は、少女フレンド誌に連載されていた同名漫画を原作としています。

物語の中心となるのは、ミュンヘンオリンピックでの金メダル獲得を夢見る女子水泳選手、速水鮎子です。鮎子は、東京スイミングセンター（劇中では「中央スイミングセンター」）を舞台に、厳しいトレーニングやライバルとの競争、そして青春特有の葛藤や恋心を経験しながら成長していきます。

ドラマの見どころの一つは、現実離れした、個性的な水泳技の数々です。「飛び魚ターン」や「渦巻きターン」といった、まるで漫画から飛び出してきたかのような技の数々は、視聴者を魅了しました。これらの技の多くは、実際には特殊効果やスタントによって表現されており、中でも「飛び魚ターン」はブルーバックを使ったトランポリン演技、「大河のジェットターン」は牽引によって撮影されました。主演の梅田智子さんは、これらの撮影には危険が伴う場面もあったと語っています。

水泳シーンの撮影では、出演者の顔が見えない場面については、日本体育大学の選手が吹き替えを務めています。しかし、主演の梅田智子さんは自身も水泳が得意だったため、全てのシーンを吹き替えなしで演じきりました。彼女の卓越した演技は、作品全体のクオリティを大きく高めるものとなりました。

ドラマには、鮎子を取り巻く個性豊かな登場人物たちも数多く登場します。ライバル選手やコーチ、そして友人や家族など、それぞれのキャラクターがドラマに深みを与えています。特に、海門政美の「無呼吸泳法」、有田陽子の「風車ピッチ泳法」、日向の「ロケットターン」など、個性的な水泳選手たちの技は、物語に華やかさを添えています。

また、このドラマでは、当時のフジテレビアナウンサーである逸見政孝さんが水泳中継の実況アナウンサーとして出演しており、作品にリアリティを与えています。

豪華なキャスト陣もこのドラマの魅力の一つです。速水鮎子を演じた梅田智子のほか、青木英美、小泉博、三ツ矢歌子、水谷邦久といったベテラン俳優から、沖雅也といった若手俳優まで、実力派の俳優たちが集結しました。

スタッフ陣も、長野卓、日高武治、児玉進といったベテラン監督や、野口光一、八百板勉といったプロデューサーなど、テレビドラマ制作の第一線で活躍する面々が揃い、作品全体のクオリティの高さを支えました。

音楽も、渡辺岳夫氏による力強い楽曲がドラマの雰囲気を盛り上げています。オープニングテーマ「プールに賭けた青春」と挿入歌「恋をした渚」は、いずれも佐々木早苗（第1話～38話）と堀江美都子（第39話以降）によって歌われ、多くの人々の記憶に残る名曲となりました。

『金メダルへのターン！』は、オリンピック出場を目指す少女たちの青春と成長、そして友情や恋を描いた、感動と興奮に満ちた作品です。華麗な水泳シーンと個性的なキャラクター、そして名曲の数々によって彩られたこのドラマは、多くの視聴者から支持され、長く愛される作品となりました。放送時間や放送局も幅広く、多くの地域で視聴することができたのも、このドラマの人気を高めた要因の一つと言えるでしょう。

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