金丸弘美

金丸弘美

金丸 弘美（かなまる ひろみ、1952年9月8日生まれ）は、日本の食環境ジャーナリストであり、長年にわたり地域活性化や地方創生に尽力しています。総務省地域力創造アドバイザーや内閣府地域活性化伝道師といった公的な肩書も持ち、食を通じた地域再生、食育と味覚ワークショップの展開、地域デザインを主な活動テーマとしています。

経歴

佐賀県唐津市で誕生し、地元の佐賀県立唐津東高等学校を1970年に卒業。その後、大東文化大学に進み、1974年に卒業しました。大学卒業後は、新美容出版編集部でキャリアをスタートさせ、1985年からはアイランズ編集部（高平哲郎事務所）に勤務し、編集者としての経験を積みました。

1993年からは、食を主題とした地域づくりに焦点を当てた取材活動を本格的に開始します。同時に、食の魅力を伝えるワークショップを展開し、地域からの情報発信を目的とした出版活動との連携も深めていきました。こうした活動を通じて、金丸氏は地域固有の食文化や資源が持つ可能性に着目し、その重要性を広く社会に伝える役割を担うようになります。

2001年には、妻の両親の出身地である奄美群島徳之島へ移住。この移住体験は、地域社会の暮らしや文化に深く根差した視点を育む上で大きな転機となりました。徳之島での生活を通じて得た知見は、その後の地域活性化に関する提言活動に活かされています。

主な活動と貢献

2006年以降、金丸氏は国や地方自治体の様々な地域振興事業において、専門家としての知見を提供するようになります。長崎県平戸・松浦地区における観光人材育成協議会の地域活性化事業アドバイザーや、大分県の食育事業アドバイザー、唐津玄海食プロジェクトの顧問などを歴任。具体的な地域課題に対して実践的なアドバイスを提供しました。

特に、総務省地域力創造アドバイザーや内閣官房地域活性化応援隊地域活性化伝道師としては、全国各地で講演やワークショップを実施し、地域が持つポテンシャルを引き出すための方法論を伝えています。茨城県常陸太田市での「元気な地域をつくる食のまちづくり最前線」や、岐阜県高山市におけるブランド野菜「宿儺かぼちゃ」のプロモーション事業など、多様な地域でのプロジェクトに深く関与し、成功に導きました。

教育分野でもその経験と知識を共有しており、2007年からは大妻女子大学家政学部ライフデザイン学科で「食と社会」の非常勤講師を務めたのを皮切りに、明治大学農学部食料環境政策学科兼任講師、フェリス女学院大学国際交流学部非常勤講師、新潟経営大学観光経営学部特別客員教授などを歴任し、後進の育成にも力を注いでいます。

このほか、国土交通省の小笠原諸島振興開発審議会委員や農林水産省の学校給食等地場食材利用拡大委員会委員、山形県総合政策審議会委員など、国の政策決定に関わる重要な委員も務め、地域資源の活用促進や食育の推進に貢献しています。2011年には日本ペンクラブ環境委員会副委員長にも就任し、環境問題に関する発言も行っています。また、香川県さぬきうまいもんプロジェクト実行委員会委員や高知県観光特使として、特定の地域の魅力発信にも貢献しました。

メディア・著作

金丸氏はメディアへの露出も多く、NHK「ETV特集」やテレビ東京「トコトンハテナ」、ジャパンエフエムネットワーク「サードプレイス・美味しい食の物語」など、様々な番組に出演し、食や地域に関する自身の考えを発信しています。

さらに、多岐にわたるテーマで数多くの著作を刊行しており、その知見を広く社会に共有しています。主な著書には、『地域の食をブランドにする!』、『食にまつわる55の不都合な真実』、『田舎の力が 未来をつくる!』、『美味しい田舎のつくりかた』、『里山産業論』、『実践! 田舎力』などがあり、食と地域の関わり、持続可能な地域づくり、食育の重要性といったテーマについて、ジャーナリストとしての確かな視点と地域での実践に基づいた論考を展開しています。共著も複数あり、食や地域に関する様々な専門家との協力を通じて、新たな知見を提示しています。

これらの活動を通じて、金丸弘美氏は、地域が持つ食や自然、文化といった固有の資源の価値を再認識させ、それらを活かした自立的かつ持続可能な地域社会の実現に向けた道を拓き続けています。スローフードや6次産業といった概念にも深く関わり、食と地域の未来を考える上で欠かせない存在と言えるでしょう。

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