金刺盛澄

金刺盛澄（かなさし の もりずみ）

金刺盛澄は、平安時代後期に活躍した諏訪大社下社の神官であり、武士としても知られる人物です。生没年は不明ですが、その生涯は波乱に満ちていました。諏訪盛澄とも呼ばれ、弟には手塚光盛がいました。

生涯

当初、金刺盛澄は治承・寿永の乱で源義仲の挙兵に加わりました。しかし、御射山神事のために弟の光盛を現地に残し、自身は帰国しました。その後、平家の家人として長年都に滞在していたため、源義仲が討伐された後、源頼朝によって捕縛され、梶原景時に預けられることになりました。

頼朝は盛澄を処刑しようと考えていましたが、盛澄が藤原秀郷流弓術を継承する弓の名手であることを知った景時は、その才能を惜しみ、頼朝に盛澄の命を助けるよう懇願しました。景時は、せめて盛澄の弓の腕前を見てから死罪にすべきだと主張し、頼朝に受け入れさせました。

盛澄は頼朝の前に参上し、鶴岡八幡宮で行われた放生会で流鏑馬を披露することになりました。頼朝は、盛澄が騎乗する馬としてわざと暴れ馬を与え、さらに八つの的を射抜いた後、その破片や的を立てかけた串まで射抜くという難題を課しました。しかし、盛澄は見事に全ての難題をクリアし、その卓越した弓術を証明しました。この結果、盛澄は赦免されることとなりました。また、景時の計らいにより、捕縛されていた義仲の郎党たちも助命され、御家人に加えられることとなりました。この一連の出来事は『諏訪大明神絵詞』にも描かれています。

建久4年（1193年）3月、盛澄は頼朝が下野国那須、上野国三原で行った狩倉にも随行し、その後は幕府の流鏑馬や的始の儀式で活躍しました。同年9月には、北条泰時の元服前に行われた「矢口餅の儀式」で三の口を賜っています。史料によると、盛澄は建仁3年（1203年）まで活動していたことが確認できます。下諏訪町には、盛澄が恩人である景時を偲んで建立したとされる梶原塚が現存しています。

参考文献

『長野県百科事典』信濃毎日新聞社
『日本中世史事典』朝倉書店

関連項目

諏訪神党
諏訪氏
山吹御前
折井宏光 - 歴史画家、金刺盛澄を描いた

脚注

特になし

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