金原亭馬生 (8代目)

八代目金原亭馬生（1896年9月7日 - 1943年11月7日）は、大正から昭和初期にかけて活躍した落語家です。本名は小西万之助。彼は落語家としてだけでなく、幇間としての経験も持ち合わせており、その多才な芸風で人々を魅了しました。

初期の経歴と落語界への入門

当初、馬生は帝国議会（衆議院）で下働きをしていました。しかし、1910年に落語の世界へ足を踏み入れ、四代目橘家圓喬の門下となり、橘家喬松を名乗りました。その後も、初代桂小南門下で桂小平、二代目桂三木助門下で三太と、次々に師匠を変え、芸名を改めました。1918年8月には二代目三遊亭小圓朝門下で三遊亭清朝から三遊亭小圓治へと名前を改めています。

幇間への転身と落語家への復帰

一時、馬生は落語家を離れ、宇都宮で幇間として活躍しました。この時、茶目平という名前で活動していました。しかし、友人の金原亭武生の紹介で、1925年頃に四代目古今亭志ん生の門下となり、古今亭延生と名乗り、落語界に復帰します。その後、三遊亭圓生と名前が似ていることから、1926年4月に古今亭志ん馬に改名しました。

真打昇進と金原亭馬生襲名

地方巡業を経て、八代目桂文楽の門下で桂文生と名乗り、1927年9月に四代目蝶花楼馬楽の門下で蝶花楼馬の助として真打に昇進しました。1936年には金原馬の助、そして金原亭馬の助と改名。そして、1939年10月、友人である志ん生の前名である八代目金原亭馬生を襲名しました。

人物像と芸風

馬生は、幇間としての経験からか、明るく陽気な語り口が特徴でした。しかし、残念ながら早世しました。彼は「ずっこけ」「干物箱」「雑俳」などの噺を得意としていました。

エピソード

馬生は、酒を飲むとこっそりトイレで指を喉に入れて吐き、また何食わぬ顔で酒を飲む癖があったため、「ゲロ万」という異名がありました。また、丸顔だったことから「だるまの万ちゃん」、物忘れが激しく頭の回転も悪かったことから「脳梅の万ちゃん」とも呼ばれていました。

坊野寿山が主宰する噺家の川柳の会「鹿連会」に入会する際、母親が菓子折りを持って付き添い、「うちの子は頭が悪いから、面倒を見てやってください」と頼んだという逸話があります。また、数を数える際に両手を使っていたため、川柳の五・七・五を数えることができず（十を超えてしまうため）、母親から「そろばんを使ったらいい」と教えられ、そろばんを使いながら川柳を作っていたという、愛すべき一面も持ち合わせていました。

このように、八代目金原亭馬生は、そのユニークな芸風と人柄で、多くの人々から愛された落語家でした。

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