金城朝永

金城朝永（きんじょう ちょうえい）は、1902年（明治35年）に沖縄県で生まれ、1955年（昭和30年）に生涯を閉じた沖縄研究者です。彼は特に琉球方言の研究に力を注ぎ、その分野における重要な貢献者として知られています。

生い立ちと初期の活動

金城は幼い頃から、沖縄学の父と称される伊波普猷（いは ふゆう）の影響を強く受けて育ちました。9歳の時には伊波が開いた「子供の会」に入会し、沖縄の文化や言語に対する関心を深めました。中学時代には、当時の標準語教育に反発し、落第を経験するなど、独自の視点と強い意志を持っていたことが伺えます。その後、上京し東京外国語学校で学び、卒業後は伊波や柳田國男、折口信夫らが中心となった「南島談話会」に参加するなど、研究者としての基盤を築きました。

研究活動の展開

金城は、柳田國男が主催する「木曜会」にも参加し、方言や民俗に関する研究を深めました。1936年には、東京大学や國學院大學の学生に琉球語のアクセントを教え、また金田一京助のアイヌ調査にも助手として参加するなど、その活動は多岐に渡りました。この経験が、後に三省堂での辞書編纂に繋がったとされています。

戦後の活動と著書

戦後、金城は米軍の翻訳官を務めながら、東京学芸大学でも教鞭を執り、琉球の歴史研究を続けました。彼の著書には、『異態習俗考』や『那覇方言概説』などがあり、沖縄の文化や言語を深く掘り下げた内容となっています。これらの著作は、沖縄研究における貴重な資料として、現在も多くの研究者に参照されています。

金城朝永の業績

金城朝永の研究は、琉球方言の研究における基礎を築いただけでなく、沖縄の文化や歴史を深く理解するための重要な資料となっています。彼の業績は、沖縄の言語文化研究において欠かせないものであり、その情熱と知性は、後世の研究者たちに大きな影響を与え続けています。

著書リスト

『異態習俗考』六文館、1933年1月。
『異態習俗考』成光館書店、1934年7月。
『異態習俗考 拭ふ習俗』松城出版社、1945年11月。
『異態習俗考』礫川全次解説、批評社、1996年1月。
『那覇方言概説』三省堂、1944年8月。
大蔵省主税局 編『沖縄法制史』金城朝永校訂、山岡書店〈貴重資料復刻叢書〉、1953年12月。
『沖繩法制史』東京税務監督局、1903年。復刻・雄松堂書店、1934年。
『金城朝永全集 上下』大藤時彦・外間守善 編、沖縄タイムス社、1974年1月。

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