金子元宅

金子元宅（かねこ もといえ）

金子元宅は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した日本の武将です。彼は伊予国の金子城の城主として知られています。元宅は金子元成の嫡男であり、実弟には金子元春と金子家綱がいます。

出自

金子氏は桓武平氏の血を引く武蔵七党の村山党から派生した家系です。彼らは武蔵国入間郡（現在の埼玉県入間市）を拠点にしていました。鎌倉時代、金子家忠が保元の乱や平治の乱などで名を馳せ、この功績から彼の子孫は伊予国新居（現在の愛媛県新居浜市および西条市）で地頭となりました。金子家範の曾孫である金子広家が建長年間に新居郡への移住を果たし、以降約300年間、伊予金子氏は繁栄を続けました。

生涯

元宅は天文20年（1551年）、伊予国新居に誕生しました。金子城の城主として多くの戦に関与し、19歳の時に結婚し、四人の息子と一人の娘を迎えました。

天正の陣

天正13年（1585年）、羽柴秀吉による四国攻めが始まる直前、元宅は敵との戦争において強い決意を示しました。妻の実家である石川家での議論において彼は、「勝負は時の運だ。死力を尽くして戦うべきだ」と訴え、毛利軍に立ち向かう覚悟を決めました。その際、羽柴秀吉の命を受けた小早川隆景が約3万人の兵力で侵攻してきた中、元宅は約2千の兵を率いて迎撃しました。

岡崎城や金子城が次々と陥落する中、元宅は氷見の高峠城に立て籠もり、残った兵を集めて反撃を試みました。しかし、圧倒的な敵の軍勢に直面し、彼は高峠城に火を放ち、100名ほどの兵と共に敵陣に突入しました。元宅はその時、戦死しましたが、彼の散華は小早川隆景に高く評価され、弔いの舞が行われたとされています。

滅亡後の伊予金子氏

元宅の弟、金子元春は生き残り、元和年間には慈眼寺を再興して住職となりました。また、元宅の嫡男、金子宅明は長宗我部氏の人質として土佐にいましたが、周囲の情勢の変化に伴い、伊予に戻り加藤家に仕官しました。その後、彼は土佐の国主山内氏に仕官しました。一方で、次男の金子元雅や三男の金子基宅もそれぞれ異なる道を歩むこととなりました。

近世

金子元宅の名前は後世にも引き継がれ、唯俊という名で復姓し、その子孫の金子直吉は商業活動において成功を収めました。また、トンカカ踊りも金栄校区の伝統として残り、今でもお盆や新居浜太鼓祭りで楽しまれています。

金子元宅の生涯は、勇気と忠義の象徴として語り継がれ、多くの人々に影響を与えています。家族や家系の命運を共にした彼の足跡は、今日でも伊予の地に根付いています。

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