金子剛一

金子剛一は、日本の実業家として知られています。彼のキャリアは、明治大学付属中学校での野球部キャプテンとしての活躍から始まりました。当時、ゴルフ評論家の川田太三と親交を深め、現在も交流が続いています。

明治大学法学部を卒業後、金子は住友スリーエムに入社し、副社長まで昇進しました。その後、政府のヘッドハンティングにより、旧日本道路公団の民営化によって設立された中日本高速道路の会長兼社長に就任しました。この人事は、当時国土交通大臣であった前原誠司が、高速道路会社の社長人事において天下りを排除する意向を示したことが背景にありました。その結果、全国6社の社長に民間企業出身者が選ばれました。

金子は、国際的な企業での経験から、日本の高速道路の未来を見据え、2012年4月に開通した新東名高速道路で、サービスエリアの概念を大きく変える試みに挑みました。EXPASA・NEOPASAといったユニークな商業施設を導入し、アパレル、時計、宝飾品、限定品など幅広い商品を取り扱い、「目的地となるサービスエリア」を目指しました。121店舗のうち、半数以上の67店舗が高速道路初出店であり、その革新的な取り組みは注目を集めました。

しかし、その後の国交省は、民営化後の経営効率化が十分でないとして、5社の社長を交代させましたが、金子は新東名の開通や複合商業施設の開業などの実績を評価され、唯一留任することになりました。

金子は「世界一の高速道路会社を目指す」という目標を掲げ、5カ年の経営計画を策定し、事業を推進しました。しかし、2012年12月に笹子トンネル天井板落下事故が発生したことにより、安全対策を最優先とするように計画を修正せざるを得なくなりました。この事故は、金子の経営方針に大きな転換を迫る出来事となりました。

2014年6月に中日本高速道路の社長を退任しましたが、2017年11月には笹子トンネル事故の責任を問われ、書類送検されるという事態にもなりました。金子のキャリアは、常に変化と挑戦に満ちたものでした。

略歴

1966年 - 明治大学法学部卒業
1968年 - 住友スリーエム入社、明治大学大学院商学研究科修士課程修了
1985年 - 住友スリーエム原価部長
1990年 - 住友スリーエム財務本部長
1992年 - 住友スリーエム取締役財務本部長
1997年 - 住友スリーエム3Mアジア太平洋地域財務担当ディレクター
2000年 - 住友スリーエム取締役人事本部長兼スリーエムフェニックス代表取締役社長
2001年 - 住友スリーエム常務取締役
2003年 - 住友スリーエム代表取締役副社長
2009年 - 住友スリーエム特別顧問
2010年 - 中日本高速道路代表取締役会長兼社長
2012年 - 中日本高速道路代表取締役社長
* 2014年 - 中日本高速道路退任

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