金子満

金子満（かねこ みつる）

金子満は、1939年1月に東京で生まれ、2018年6月に逝去するまで、日本のアニメーション界に多大な影響を与えたプロデューサー、ディレクター、そしてシナリオライターでした。彼は「日本のコンピュータグラフィックスの父」としても称され、数々のアニメ作品に携わっただけでなく、学術的な活動にも注力しました。東京工業大学大学院で博士号を取得し、教鞭を執る一方で、映像制作における革新を目指しました。

経歴

金子の父親は映画配給会社東宝の重役だったことから、映画や映像への関心が早くから芽生えました。慶應義塾大学法学部を卒業後、彼はフジテレビに入社し、編成部で『日清オリンピックショウ 地上最大のクイズ』や『ゼロファイター』などの作品に関わりました。1964年の『ゼロファイター』では、制作方針の混乱から「お蔵入り」となる失敗を経験しましたが、この経験が後の活動に影響を与えました。

南カリフォルニア大学シネマスクールに留学した後、帰国してプロデューサーとして多くの著名な作品に取り組みました。特に『木枯し紋次郎』などの成功を収めながら、その後浜美枝と結婚しました。1974年には映像企画会社MK COMPANYを設立し、様々なアニメ作品のプロデューサー兼シナリオライターとして活躍しました。

MK COMPANYとアニメーションの革新

MK COMPANYでは『ウリクペン救助隊』『ラ・セーヌの星』などの作品を手掛け、中谷国夫名義で『大空魔竜ガイキング』の原作も手がけました。1983年には東京工業大学との共同プロジェクトにより、世界初のコンピュータ描画による2Dアニメーション『子鹿物語』を制作するなど、彼の技術革新への姿勢は多くの注目を集めました。

さらに、1987年にはロサンゼルスにメトロライトスタジオを設立し、映画『トータル・リコール』でのモーションキャプチャ技術の利用が評価され、アカデミー特別業績賞を受賞しました。彼の仕事は、アニメーションや映画における技術の進歩を促進する重要な役割を果たしていました。

教育と普及活動

金子は1996年に東京工業大学で博士号を取得後、慶應義塾大学や東京工科大学で教授を務め、若手クリエイターの教育にも力を注ぎました。特に東京工科大学片柳研究所での活動では、クリエイティブ・ラボを主宰し、新たな映像コンテンツの制作を支援しました。また、東京国際アニメフェアの委員を務めるなど、アニメやCG分野の発展に貢献し続けました。

JCGLの設立とその影響

1981年には日本初の商業CGスタジオ「JCGL」を設立しました。スタジオは遊び心に溢れ、当時の技術革新に寄与しましたが、その後は様々な問題に直面しナムコに吸収される結果となりました。しかし、JCGLで育てられたスタッフは、日本のCG技術の発展に貢献することになりました。特に、彼が設立した「CGカリキュラム研究会」は後にCG-ARTS協会として発展し、業界の人材育成に寄与しています。

著書と監修

金子満は数多くの著書や監修を行い、映像コンテンツ制作における知識を次世代に継承しました。彼の執筆した作品は、映像制作やシナリオライティングの重要なリソースとなっています。彼の功績と影響は、アニメーションとCGの世界における基盤を築いたと言えるでしょう。

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