金容淳

金容淳（キム・ヨンスン）の生涯

金容淳（キム・ヨンスン、김용순、1934年7月5日 - 2003年10月26日）は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の政治家であり、朝鮮労働党の要職を歴任しました。特に、対南工作を担当し、南北関係において重要な役割を果たしました。

生い立ちと初期のキャリア

金容淳は、日本統治下の平安南道平康郡で生まれました。金正日の実母である金正淑の弟とされています。1955年に金日成総合大学法学部国際関係学科を卒業後、1961年に江原道人民委員会副委員長として政界入りし、1969年には元山道人民委員会委員長に就任しました。

1970年にはエジプト大使に任命され、外交官としてのキャリアをスタート。その後、外国文化連絡委員会の副委員長や民主弁護士協会の副会長などの役職を歴任しました。

朝鮮労働党での活躍

1980年10月、朝鮮労働党第6回党大会で党中央委員および党国際部副部長に就任。1982年には最高人民会議代議員に選出されました。1984年には一時的に炭鉱での労働を経験しますが、1985年には党国際部に復帰し、1988年には国際部長に昇進しました。

1990年5月には党国際担当書記に就任し、西側諸国との外交交渉を担当。1991年には朝鮮労働党代表団の団長として日本を訪問しました。1992年には対南工作担当の党書記および党政治局員候補に就任し、南北交渉に携わりました。

1993年には最高人民会議統一政策委員長、祖国平和統一委員会副委員長に就任。1994年には朝鮮アジア太平洋平和委員会委員長に就任するなど、要職を歴任しました。

南北首脳会談への貢献

2000年6月、金大中大統領と金正日総書記による第1回南北首脳会談の開催に大きく貢献しました。同年9月には北朝鮮公式代表団の一員として韓国を訪問し、浦項市のポスコ（浦項総合製鉄）を視察しました。この訪問は、朝鮮労働党書記としては1985年の許錟以来の出来事でした。

対外工作の責任者

金容淳は、2001年まで朝鮮労働党統一戦線部の部長を務め、三号庁舎の秘書（書記）や朝鮮赤十字会の統括も兼任しました。これにより、対韓国外交と対日本外交を一手に担い、北朝鮮外務省が関与できない状況を作り出しました。これは、国交がない韓国・日本に対して外務省が直接関与できないという事情によるものでした。

晩年と死

金正日の信頼が厚かった金容淳でしたが、2003年6月に幹部専用のメルセデス・ベンツS600に乗車中に軍用トラックと衝突する交通事故に遭いました。事故による怪我から回復することなく、同年10月26日に死去しました。

その他

金容淳には、国連大使を務める金星という実子がいます。

人物評

作家ブラッドリー・K.マーティンは、金容淳が女性の同僚との不倫問題により教化所に収容されたと述べています。また、著述家ドン・オーバードーファーは、彼の派手な生活と退廃的な振る舞いが問題となり、降格されたものの、金正日や金敬姫の友情により救われたと指摘しています。

まとめ

金容淳は、北朝鮮の政治において重要な役割を果たし、特に南北関係の改善に大きく貢献しました。彼の対外工作能力は高く評価され、金正日からの信頼も厚かったとされています。交通事故による突然の死は、北朝鮮社会に大きな衝撃を与えました。

もう一度検索