金嶺志

金 嶺志（キム・リョンジ、朝: 김령지）は、1994年8月26日に日本で生を受けたプロラグビーユニオン選手である。埼玉県出身で、現在は国内最高峰リーグであるジャパンラグビーリーグワンに参戦する浦安D-Rocksに所属し、フォワードのロック（LO）としてプレーしている。

金選手の体格は、身長190センチメートル、体重107キログラムと恵まれており、ロックというポジションに求められるフィジカルの強さを備えている。ロックはスクラムの中央でパックを安定させ、ラインアウトではジャンパーとしてボールを確保するなど、セットプレーにおいて極めて重要な役割を担う。また、密集でのパワフルなプレーや、広いフィールドでのワークレートも求められる現代ラグビーにおいて、彼の体格と機動力は大きな武器となっている。

キャリアの早い段階から、その才能は注目を集めていた。世代別の日本代表としても選出されており、U20日本代表や、将来有望な選手を集めたジュニア・ジャパンの一員として国際舞台での経験を積んだ。これらの代表活動は、トップレベルでのプレーに必要なスキルやメンタリティを養う貴重な機会となったことは想像に難くない。

彼のラグビーキャリアは、東京朝鮮高級学校から始まった。高校卒業後、大学ラグビー界で常に上位争いに加わる強豪校である帝京大学へ進学。大学での4年間、彼はレベルの高い指導とチーム環境の中で、選手として大きく成長を遂げた。帝京大学ラグビー部で培ったフィジカルと戦術理解は、その後のプロキャリアの礎となった。

2017年、帝京大学を卒業した金選手は、当時の国内トップリーグに所属していたNTTコミュニケーションズシャイニングアークスへ加入した。プロ選手としての新たな挑戦を開始した彼は、ルーキーシーズンから出場機会を得ていく。特に、同年8月18日に開催されたジャパンラグビートップリーグの開幕節、リコーブラックラムズ戦では先発出場を果たし、公式戦での記念すべきデビューを飾った。これは、大学卒業後すぐにプロの舞台で通用する能力を持っていたこと、そしてチームが彼を重要な戦力として評価していたことの証と言えるだろう。

NTTコミュニケーションズシャイニングアークスで数シーズンを過ごし、経験を重ねる中で、チームにとって欠かせない存在となっていった。しかし、NTTグループのスポーツ事業再編という大きな組織変更が行われた。これにより、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスとNTTドコモレッドハリケーンズ大阪の一部機能を統合した新たなラグビーチームが誕生することになった。

この再編の動きの中で、2022年7月、金選手は新たに発足したチーム、浦安D-Rocksの選手スコッドに選出された。浦安D-Rocksはジャパンラグビーリーグワンに参戦するチームとして活動を開始し、金選手は引き続き国内最高峰の舞台でプレーを続けることになった。彼は浦安D-Rocksにおいても、フォワード陣のキープレーヤーとして、ラインアウトでの確実なボール供給や、セットプレーでの安定感、そしてフィールド全体での献身的なプレーでチームに貢献している。

今日に至るまで、金嶺志選手は高校、大学、そしてプロリーグという段階を順調にステップアップし、常に高いレベルでプレーを続けている。恵まれた体格と、弛まぬ努力で培われた技術を武器に、浦安D-Rocksの勝利に貢献するとともに、ジャパンラグビーリーグワンにおける日本人ロックとして存在感を示している。今後のさらなる飛躍が期待される選手の一人である。

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