金永南

金 永南（キム・ヨンナム）について

金永南（1928年2月4日生まれ）は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の著名な政治家であり、主に外交活動においてその名が知られています。2010年から2019年にかけて朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員を、また最高人民会議常任委員会委員長を長年にわたり務めました。彼の政治的役割は、1998年の憲法改正により国家元首的地位を確立したことで、国際的に際立ったものとなりました。

経歴

金の出生地については、日本の朝鮮統治時代の平壌が公式に記録されていますが、一部では当時の中華民国奉天省での出自が指摘されることもあります。彼は家族とともに中国の黒竜江省へ移住し、そこで成長しました。本名は金明参であり、政治家としてのキャリアをスタートさせる前に、彼の家族背景も影響を与えたでしょう。

1950年、朝鮮戦争が勃発し、彼は中国で学生として生活しながら中国人民志願軍に従軍しました。この経験が後の政治生活において重要な要素となります。戦争が終わった後、金は北朝鮮に滞在し、金日成総合大学を卒業。後にモスクワ大学での留学も経験しました。

彼は朝鮮労働党に入党後、外交部門の要職に就き、その後のキャリアを積み上げていきました。1970年代に入ると、彼の政治的地位は急速に高まり、党中央委員に選出され、さらに国際部副部長や外務次官に就任。これにより、彼は北朝鮮の外交政策の主導的な役割を果たすようになります。1983年から1998年まで、政務院副総理及び外交部長として、金日成と金正日の指導の下で外交政策を支え続けました。

国家元首としての役割

1998年の憲法改正の結果、金永南は最高人民会議常任委員会委員長に選出され、この役割を通じて国家元首的存在となります。しかし、その影響力にもかかわらず、金正日が国防委員会委員長として事実上の国家の最高指導者の地位を占め、金永南はその傘下で活動することになります。これにより、彼は国家のナンバー2の立場に甘んじることとなりました。

2000年代に入ると、金永南は国際舞台でも頻繁に姿を現し、特に南北首脳会談やオリンピックなどの重要なイベントで北朝鮮の顔として代表する役割を果たします。2010年には党中央委員会政治局常務委員として党内での地位も一層確固たるものとなりました。

退任とその後

2019年の最高人民会議で再選された後、金永南は党中央委員会政治局常務委員及び最高人民会議常任委員会委員長を退任し、政界からの引退を選びました。しかし、彼は引退後も大規模な政治イベントに招待され、存在感を示し続けました。

日本との関係

金永南は国際的な活動でも知られ、特に日本との関係構築にも取り組みました。2002年には日朝首脳会談において日本の首相を迎え入れ、また2018年の平昌オリンピックの際には日本の首相と握手を交わすなど、外交の一環として重要な役割を果たしてきました。

家族

彼の家族についても一部注目されています。弟の金己男は政治局員として活動し、彼自身もまた金永南の政治的影響力を支えてきました。家族の背景は彼の人生に大きな影響を与えたと考えられています。

金永南の生涯は、北朝鮮の政治史において重要な位置を占め、中でも外交活動において特に際立ったものとなっています。彼の業績は国際社会においても評価されています。

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