金永祚

金永祚の生涯と野球キャリア

金 永祚（キム・ヨンジョ、1923年 - 1981年3月25日）は、大韓民国で生まれ、日本で活躍した野球選手および指導者です。彼は日本で「金光彬夫（かねみつ あきお）」という名前で知られ、特にプロ野球において重要な足跡を残しました。

幼少期と学業

日本統治時代の朝鮮で生まれた金は、家族とともに東京に移住しました。彼の家族は早稲田大学の近くで朝鮮料理店を営むようになり、その中で彼は料理と経営の様子を見て育ちました。特に、引越し資金を捻出するために実家の高麗人参畑を売却するという出来事は、彼の家族の移住の事情を物語っています。

金は帝京商業（現在の帝京大学高等学校）に通い、そこで捕手として活動しました。彼は1学年下の杉下茂とバッテリーを組み、このチームは戦時下においても夏の東京大会で2度優勝を果たしましたが、全国大会は開催されることがありませんでした。

プロ入りと野球界での功績

1943年、金は早稲田大学野球部に進学しましたが、戦局の悪化に伴ってリーグ戦は中止されました。それでも、彼は「出陣学徒壮行早慶戦」に参加し、少しの間ベンチ入りを果たしました。1944年には「金光彬男」という名前でプロ野球の朝日軍に入団し、プロ初試合では代打として出場し、初打席でホームランを放ちました。この出来事は、日本プロ野球史上初の「初打席本塁打」として記録されています。

彼のシーズン成績は限られていましたが、このシーズンでは2本の本塁打を放ち、金山次郎に次ぐ成績を収めました。 その後、日本敗戦を経て故郷の朝鮮に戻った彼は、韓国の実業団チームでプレーを続けました。

韓国代表としての活躍

1954年には初めて編成された韓国代表チームに選ばれ、アジア野球選手権に出場しました。金はそこで「4番・捕手」としてその後も二度代表に選ばれ、活躍を続けました。彼は1960年頃に現役を引退しますが、その後もその知識と経験を若手選手に伝えるため、農協中央会野球部でコーチや監督として活動しました。

彼の指導のもと、韓国代表チームは1963年のアジア選手権で初優勝を果たし、1971年の大会でも監督として指揮を取り、連続優勝へと繋げました。彼の功績は、韓国野球界における重要な転機を促しました。

最期と影響

金は1981年に糖尿病の悪化により58歳で亡くなりました。彼は生涯を通じて早稲田大学で野球を学んだことを誇りとしており、その校歌「都の西北」を常に口ずさんでいたとされています。日本統治時代から現代に至るまで、彼の足跡は多くの野球ファンや選手たちにとって誇りの象徴となっています。

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